IBM Data and AI
事例:カスタマー・エクスペリエンスの改善とコスト削減を目標に小さく始めて短期間で拡張させたCardinal Health社の取り組み方
2023年04月27日
カテゴリー IBM Data and AI | 事例
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Cardinal Health社はグローバル・ヘルスケア・サービス会社です。 その使命は医療の複雑さをなくし、変化する世界でお客様の成長を支援する拡張ソリューションを提供することです。 Cardinal Health社は、エージェント・エクスペリエンスとカスタマー・エクスペリエンスを改善し、自社の基本方針を実現するため2つのAIイニシアチブを導入しました。
新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、小売業やホスピタリティー業界、コール・センターなど現場にいるスタッフに依存するビジネスは大きな打撃を受けました。 Cardinal Health社はそれまでWatson Assistantを導入して担当者がITの問題を迅速に解決できるようにしていましたが、その成功している環境を強化し、AIイニシアチブを進化させてお客様が注文に関する重要な最新情報を入手できるようにました。
大きく考え、小さく始めて、迅速に拡張する
機知に富む組織は目の前の課題から新しい働き方を見いだしています。 Cardinal Health社のような企業は業界を混乱させたり、新しい道を切り開いたりするつもりはありません。 安定性、事業継続性、いつでもすぐに対応できるエージェント・エクスペリエンスとカスタマー・サービスを求めています。 そして、そうした企業はAIを活用して大きな成功を手に入れる道を進んでいます。
2019年、Cardinal Health社で拡張知能ディレクターを務めるジャスミート・シン(Jasmeet Singh)氏はCardinal Health社の担当者がITサポートをより迅速に受けられるように、役立つAIユース・ケースを主導しました。 シン氏は、AIを活用した自動化によって顧客と担当者の体験を向上させることができると確証していました。 またCardinal Health社が、カスタマー・サービス・エクスペリエンスを混乱させるのではなく支援する仮想音声アシスタントの実装を必要としていることも把握していました。 シン氏は次のように述べています。「AIをトレーニングする必要がありますが、お客様やエンド・ユーザーをトレーニングしようとしてはなりません」
シン氏はこの哲学に基づいて自社データを調査し、AIを適用できるユース・ケースを探しました。 ITセンターにかかってくる電話の20%が、パスワードのリセットに関してサポートを求める社内の担当者からであることが判明しました。
Cardinal Health社のデジタル哲学は「大きく考え、小さく始めて、迅速に拡張する(Think big, start small, scale fast)」です。 シン氏はチームと一緒にCardinal Health社の既存の電話システムにWatson Assistantを実装しました。 彼らは、発信者が既に選択しているオプションにジャーニーを直接マッピングしました。 現在、パスワードをリセットする必要がある発信者は仮想エージェントに転送されてサポートを受けています。これにより、Cardinal Health社のIT担当者は解放され、より複雑な問題に対処できるようになりました。
課題がチャンスに変わる
新型コロナウイルス感染症が発生すると、シン氏のチームは自社のIT部門を支援するために開発したテクノロジーを採用し、顧客対応アシスタントとしてスケールアウトしました。 今回はWatson Assistantが、医療用品および医薬品の出荷状況に関する質問への回答をサポートすることになりました。 シン氏のチームは元のコードの約80%を使用して新しい会話型エージェントを作成し、ソリューションを再設計しました。 5日間でテスト・ケースを稼働させることに成功しました。 彼らは新しいAIアシスタントに「CHIA(Cardinal Health Intelligent Assistant)」という名前を付けました。
お客様が電話をかけてCHIAと話を始めると2分足らずで問題に対する十分な解決策が得られ、またCHIAが問い合わせ件数を自力で処理したため、Cardinal Health社は入電のたびにライブ・エージェントを割り当てる必要がありませんでした。
IBMとCardinal Health社はAIを導入して運用化することについて、「大きく考え、小さく始めて、迅速に拡張する」という同様の哲学を共有しています。 シン氏はデータを検証しているときに、「Cardinal Health社は同じベース・テクノロジーで担当者とお客様を支援することができる」という大きな考えが浮かびました。 社内のWatson Assistant音声アシスタントを使用して小さく始めることで、シン氏とチームは必要なスキルとインテントでそのトレーニングを行い、最初のユース・ケースの枠を超えて成長させることができました。 ソリューションを隣接するワークフローにスケールアウトする際、シン氏のチームはお客様にとって最も価値のある方法でソリューションを提供しました。
近日公開
シン氏と彼が率いるCardinal Health社のチームはAIの新たな発展を楽しみにしており、近く発表される3つのAI機能を熱心に検証しています。 1つ目は、AIを使用してデータの取り込みのサイクルをスピードアップすることです。 IBM Cloud Pak for Dataには、こうした目標を達成するための新しいツールが既に用意されています。
2つ目はプロセス・マイニングです。組織がパターンをさらに素早く認識し、主な指標を改善できるよう支援するもので、企業は数カ月ではなく数週間で結果を確認できるようになります。 3つ目はマルチクラウド・ソリューションです。 場所を問わずにAIを適用することは、IBM Cloud Pak for DataのWatson Anywhere機能の重要な機能です。
AIの導入に不安が残っているビジネス・リーダーに向けて、シン氏は次のように述べています。「大きく考え、小さく始めて、迅速に拡張する。それがジャーニーです。 AIから引き出す洞察を受け入れてください。 AIを既存のワークフローに導入し、人的資産が現在負っているコグニティブな負担を自動化と予測でどれだけ軽減できるかを確認してください。 何よりもまず、従業員のことを考えましょう。従業員のトレーニングを開始してデジタル・フルエンシー(デジタルの流暢さ)とデジタル・イマージョン(デジタルによる没入感)を理解してもらいましょう。 それから、恐れないでください。世の中には役立つリソースがあるのですから」
IBMを使用してカスタマー・エクスペリエンスを改善し、コストを削減する方法を確認したいですか? お客様のジャーニーの進み具合に関係なく、IBMのAIエキスパートは、お客様のデータを確認して、お客様のユース・ケースやAI目標が当てはまりそうな場所をお客様が把握できるようにお手伝いします。
本記事でご紹介している、IBMの対話型AIソリューションのご紹介
*この投稿は2021年3月31日に米国Cloud Blogに掲載された記事 (英語) の抄訳です。
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