IBM Sustainability Software
クラフトビールがIoTとAIに出会ったら(シュガークリークブリューイング事例)
2019年06月08日
カテゴリー IBM Sustainability Software | プラットフォーム | 事例
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この記事は、Sugar Creek Brewing Companyの共同創業者の一人、Joe Vogelbacherさんの寄稿を日本の読者向けに抄訳したものです。
ビール醸造は世界最古の産業の1つであり、同時に巨大産業の1つでもあります。数百年前、知識と経験に優れた中世ヨーロッパの修道僧たちは、競うように醸造技術に磨きをかけ世界でも有数のエールスタイルのビールを作り出しました。
その後、産業革命により比重計や温度計などの多くのテクノロジーがビール醸造プロセスにもたらされ、制御や規格化と共に大量生産の時代がやってきました。
私たちシュガークリークブリューイングカンパニーは、信頼性と品質、そして地域コミュニティーとのつながりに強いこだわりを持った、独立系クラフトビール醸造会社です。
ノースカロライナ州シャーロットで操業したのが2014年。それから5年間、ベルギーのトラピスト会修道院の「ルールを打ち破れ」という職人気質を踏襲し、フレッシュで高品質のビール作りに専念してきました。そして今日では、年間約7,000バレルを生産し、南北カロライナ両州全土にて販売しています。
ここ数年、人びとは自分たちが消費する食べ物や飲み物への関心を高めています。
それを反映して、私たちシュガークリークは成長を続けていますが、同時にクラフトビール市場も伸び続けており、競争環境も厳しさを増し続けています。
そんな中で、私たちは日々、お客さまのために製品の卓越性を向上する取り組みを続けています。技術と伝統への強い想いと決意を胸に、競争優位性を得るための探求を怠ることはありません。
でも、ビール製造プロセスは、人びとが想像する以上に複雑なものなのです。
そんな「職人としてのこだわりと効率性のバランスを、慎重に保ちながら進めていく」という私たちシュガークリークの取り組みを支援し、先へと導いてくれるテクノロジー・パートナーが、BoschとIBMです。
AIとIoTというテクノロジーは、効率的に高品質のビールを醸造するのに必要なさまざまな観点を私たちチームに教えてくれました。
テクノロジー・パートナーが見つかる前の私たちは、製造工程で毎月3万ドル以上を失っており、頭を痛めていました。それに対する取り組みとして、AIとモノのインターネット(IoT)技術を、醸造プロセスに統合してみることにしました。
充填時間や温度、pH、重力、圧力、炭酸ガス量、レベルといったパラメーターは、すべて分析のためにIoTクラウドに送られます。そしてこれらのデータが洞察へとつながり、お客さまの高い期待に応える卓越したビールを生み出すための、プロセス改修や新プロセス提案へとつながるのです。
結果はすばらしく、卓越した品質とクラフトマンシップの両立という私たちの誓いと、生産性の向上を同時に実現することができました。これから、実際に行ったことの一部をご紹介します。
ボトリング工程では、ビールはあるタンクから別のタンクへと移されていきますが、その際に圧力や温度が不適切だと、大量の泡を発生させてしまい、かなりの無駄を発生さしてしまいます。さらに、泡が多く商品として不適切なボトルも、次工程のラベル貼りプロセスへと進んでしまいます。
これらの不適切なボトルを製造ラインから除去しリサイクリングへ回すのは、高品質のビールを製造プロセスでかなり無駄にしてしまっていると言わざるを得ません。
このボトリング工程の問題に対し、私たちシュガークリークはアナログの精密流量計とボッシュのIoTセンサー、そしてIBM Watson IoT PlatformとIBM Visual InsightsというAIソリューションを導入しました。その結果、プロセスにおいて発生する損失量を正確に特定し、対応策を取れるようになったのです。
また、IBM Watsonとボッシュのインターフェースを介して収集したデータを高度解析したところ、ボトル内で過度の泡が生じる問題の原因を特定することができました。
これは大きな発見で、これだけでも毎月1万ドル以上損失を減らすことができています。過去に発生していた出荷できない充填ボトルはほぼ発生しなくなり、市場に出荷できるシュガークリーク製品の量を増やすことができました。
現在、私たちは問題のあるボトルを即座に発見できるようになっています。以前に生み出してしまっていた無駄を、新しいレシピの開発や製品の拡充、市場の拡大へと向けることができているのです。
それだけではありません。現在、私たちはこの取り組みにより生み出した利益と削減できたコストを、さらに投資に回しています。発酵をより正確に管理することで、口の中に入れた時に感じる香りや味わいをより素晴らしいものにすることができるようになっています。
産業革命の頃、先人たちはテクノロジーを用いて、ビール醸造に効率性という重要な変化をもたらしました。
現在、私たちはAIとIoTというボッシュとIBMによるテクノロジーを用いて、自分たちの競争力を維持しながら、さらにフレッシュで高品質、そしてイノベーティブなビールをお客様にお届けしています。
そしてさらに、私たちはより美味しいビールをお客様へ届けるのと同時に、より多くの雇用も生み出すことで地域社会への投資も進めています。私たちシュガークリークにとって、このコンビネーション以上に杯を掲げるのに相応しいことはありません。
さあ、みなさんもご唱和ください。乾杯!!
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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Technical Lead, Watson IoT
当記事は、AI and IoT Help Perfect the Brew at Sugar Creek Brewing Companyを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。
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