IBM Partner Ecosystem
AI、エネルギー、食、人材育成 | 「IBM Think Lab Day@札幌」を4つのキーワードで
2024年11月18日
カテゴリー IBM Partner Ecosystem
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お客様、パートナー様のビジネス課題の解決や一層の価値創造に役立つ共創を目指し、IBM Think Lab (弊社箱崎事業所、東京日本橋) ではIBM Researchの先端テクノロジー体験をお届けしています。
「先端テクノロジー体験を日本各地の皆さまにもお届けしたい。学生の皆さんにもテクノロジーに興味を持ってもらい、IBMを知ってもらうきっかけを作りたい」という思いで2023年から東京を飛び出しスタートした地域開催イベント「IBM Think Lab Day」。
2024年最終回は、10月29日北海道札幌アスティホールにて開催いたしました。
当記事では、ゲスト講演をしていただいたRapidus(ラピダス)社様、サッポロビール社様の講演内容を中心に、4つのキーワード「AI」「エネルギー」「食」「人材育成」の切り口からご紹介します。
目次
日本IBM 取締役常務執行役員であり、2024年10月から北海道地域担当エグゼクティブ(地域の人財育成や経済の発展に貢献することを目的に新設)として就任した村田 将輝によるオープニングからスタートしました。
● 先端ロジック半導体を北海道から世界へ – Rapidusの挑戦
日本IBM 新川崎事業所長 山道新太郎による講演「未来のコンピューティングビジョン」に続き、Rapidus株式会社 専務執行役員 石丸一成氏による基調講演「先端ロジック半導体を北海道から世界へ – Rapidusの挑戦」が行われました。
2022年8月の設立以来、国内外から高い注目を集めているRapidus社。その技術力と先端半導体の未来展望についての講演はあっという間の30分間で、メモを取る多くの参加者の姿が印象的でした。
そして、Rapidus社の「次世代半導体製造イノベーション戦略」の中で何度となく登場したキーワードが、「AI」と「エネルギー」です。以下、注目のコメントをピックアップします。
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AI
「半導体の製造期間を半分に短縮できたら社会は変わる」とも言われている中、AIの進化・開発スピードは凄まじく、半導体もそれに応えられる開発スピードが求められている。
データ量の増加、用途拡大により、AI半導体の出荷数量の拡大は続いており、今後のAI半導体の世界市場は2030年に$400B(約60兆円)以上に成長する見通し。
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エネルギー
次世代半導体製造における最大の課題は電力であり、2022年に推定460テラワット時(TWh)を消費した世界のデータセンター総電力消費量は、2026年には1000TWh以上に達する可能性があり、その半分近くをAI関連が締める見込み。そして2030年には、3000TWh近い消費量となる可能性がある。
こうした消費量の上昇カーブを抑えるのに不可欠なのが、エネルギー性能・処理効率を大幅に上げる「2ナノメートル」という超微細加工の高性能AI半導体。また、特定処理に特化したチップ開発と、Rapidusの3D積層パッケージ技術も、消費エネルギー抑制に大きな役割を果たす。
Rapidus社 石丸氏の講演後、IBM 山道が再び壇上に登ると、およそ15分間の2人によるファイヤーサイドチャット(カジュアルなトークセッション)が行われました。
30年弱前カリフォルニアの某大学に同時期に留学しており、実は古くからの友人だという2人。ファイヤーサイドでは2人の体験を交えながら、半導体業界においてもいかに「ネットワークと信頼関係」が重要であるかが語られました。
そして会場からの質問をきっかけに、壇上では「人材育成」についての2人の見解が述べられました。
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人材育成
「こういうものを作り出したい」というアイデアを持った若者を日本社会にもっと増やしていくことが必要。それには、「何があればもっと良い社会になるか」を考える人を育てなければならないし、アイデアや意見を出しやすい環境・持ち込みやすい環境を作らねばならない。
そのために必要なのは、普段から若者たちの「意思を大事にする」社会。「どういう社会にしたいか」を一緒に考えていける信頼関係が重要であり、企業も社会も褒める文化と密なコミュニケーションを大事にしていくべきではないだろうか。
● AIを活用したサッポロビール社の商品開発
続いてのセッションは、サッポロビール株式会社 チーフイノベーションエキスパート 滝沢隆一氏と日本IBM プリンシパル・データサイエンティストの佐藤和樹によるトーク「AIを活用したサッポロビール社の商品開発」です。
セッション終盤には日本IBM ビジネス・デベロプメント・エグゼクティブ 三橋朗も交わり、「AIが味の世界にもたらす新たな可能性」についての鼎談が行われました。
以下、「AI」と「食」という2つのキーワードに絞って注目のコメントをピックアップします。
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AI
サッポロビール社とIBMによる商品開発AIシステム「N-Wing★(ニューウィングスター)」の共同開発を2019年末スタート。RTD(Ready to Drink、蓋を開けてそのまますぐ飲める缶チューハイなどの低アルコール飲料商品の総称)の原料・配合検討における時間短縮に取り組んだ。
AIに学習させたデータは、既存商品約170商品、約700種の原料情報と約1200種の配合、加えて香味表現類義語辞書など。それらの学習データをもとに作られたAIモデルと人間の開発者による3番勝負を行ったところ、1度目の対戦では全敗だったAIが、2度目の対戦では人間を上回った。そこから勢いがつき商品開発AIシステム「N-Wing★」が本格稼働、生まれた最初のヒット商品が「男梅サワー 通のしょっぱ梅」。しょっぱさを増す隠し味を見つけだし、塩分量をほぼ変えることなく、想定数量の1.3倍の受注を獲得した。
その後も取り組みは続いており、従来と比較して原料検討時間は約75%削減、配合検討時間は約50%削減された。また、従来は属人化してしまったナレッジを、誰でも効率良く検索して活用できるようになり、AIが「価値創造のパートナー」として活躍する場面が増えている。
参考 | 商品開発AIシステム「N-Wing★」を活用した初の商品 「サッポロ 男梅サワー 通のしょっぱ梅」数量限定新発売
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食
味覚成分の組み合わせを学習することで味覚をデータ化する、持ち運び可能な小型学習型AIセンサー「HyperTaste(ハイパーテイスト)」をIBMは開発。イタリア産赤ワインの産地を98.2%の精度で特定したり、海洋酸性化に関する調査を大西洋無人航海を通じて行うなどの活動を行なっている。
今後は、トレーサビリティー・システムや、アルコール飲料/清涼飲料水の出荷前検査などへの応用を検討中。
「人間による感応検査は大きな労力がかかるものなので、その代用ができるなら大きな意味がある。」「商品の特性を見極め真贋鑑定ができるようになれば、材料科学への応用も進むのではないか。」(ともにサッポロビール社 滝沢氏からのコメント)
● 北海道とIBMとの共創・地域創生を目指して
最大規模のセンターを構える札幌をはじめ、現在日本国内8カ所で「地域活性のために」を謳い活動しているIBM地域DXセンター。
その運営を行なっている日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社(IJDS)を社長としてリードしているのが、先日、『Forbes JAPAN』誌で「Women In Tech 30」に選出された、井上裕美です。
参考 | Women In Tech 30 発表:テクノロジー領域で未来を創造する30人の女性
「このイベントを『仲間づくり、きっかけづくりの場とぜひご活用いただきたい』と村田がオープニングスピーチで語ったように、Think Lab Dayには、登壇者と参加者、参加者同士・登壇者同士のコミュニケーションの機会がふんだんに盛り込まれていました。
講演終了後には、100名を超えるIBM Think Lab Day@札幌の参加者の皆さんに11組のグループに分かれていただき、登壇者やIBMのスペシャリスト、ファシリテーターたちとのコミュニケーションを行うラウンドテーブル・セッションをお楽しみいただきました。
そしてラウンドテーブルの盛り上がりが冷めやらぬまま迎えたクロージングでは、日本IBM 理事 テクノロジー・エンゲージメント 髙橋志津が、「来年もぜひ札幌で開催させていただきたい、そして地域学校との共創も深めていきたい」と力強く挨拶をし、IBM Think Lab Day@札幌は終了となりました。
なお、当記事でピックアップしたIBMとその共創パートナーが注力している「エネルギー」と「食」は、「北海道からグローバルを目指すスタートアップを生み育てるエコシステムの実現」を目指し活動しているSTARTUP HOKKAIDO実行委員会の掲げている注力分野でもあり、言わずと知れた日本社会を支える最重要基盤です。
今後も日本IBMは、Think Lab Dayイベントを日本各地で開催してまいりますので、
来年も、ぜひご期待ください。
参考 | Think Lab -未来のコンピューティングを具現化する IBM Researchのラボ-
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