IBM Sustainability Software
[事例] 世界有数のESG企業GPTグループのパートナーとして
2023年03月15日
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オペレーションとコストの最適化を、廃棄物と排出の削減と同時に実現する方法——それを追求し続けた企業がオーストラリアを中心に活動しているGPTグループです。
GPTグループが見つけた「データ主導の体系的なアプローチ」という方法が、どのようにサステナビリティの成果とビジネスの回復力をもたらしたか。その方法を詳しくご紹介します。
GPTグループについて
GPTグループは、オーストラリアのオフィス、物流、商業施設など274億豪ドル超の資産を所有・管理する総合不動産グループです。1971年以来オーストラリア証券取引所(ASX)に上場しており、ESGのリーダーとして、現在、世界的なESG投資の調査・評価機関であるS&Pグローバルによるコーポレート・サステナビリティ評価 (CSA: Corporate Sustainability Assessment) において、不動産会社864社の中で第1位にランクされています。
もくじ
- 1. 輝かしい現状 | 世界有数のESG企業としての評価
- 2. Envizi導入前 | 手動対応がもはや不可能なレベルに<
- 3. Envizi導入と、それからの進化
- 4. Envizi導入効果1 | 重複作業を払拭
- 5. Envizi導入効果2 | スマートな意思決定により年間2,000万ドルのコスト削減
- 6. Envizi導入効果3 | サステナビリティの取り組みすべてを体系化
1. 輝かしい現状 | 世界有数のESG企業としての評価
総合不動産グループGPTのサステナビリティ責任者であるスティーブ・フォード氏とサステナビリティチームは、過去10年以上にわたりESGデータ管理の問題への対処を続け、現在では高度に自動化された仕組みを作り上げています。
その間GPTグループは、ESGの3側面から持続可能性に優れた企業を選定する、世界の代表的な社会的責任投資(SRI)指標であるDJSI World(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス)で常に上位を占めてきました。
また、GPTの各ホールセールファンドは、不動産セクターの企業やファンドを対象とした年次のベンチマーク評価GRESB(グレスビー: Global Real Estate Sustainability Benchmark)にて、上位5分の1に認定されています。
そして実際、GPTはオーストラリアの不動産所有者の中で最も多くのカーボンニュートラルビル認定床面積を有しており、現在、S&Pグローバルによるコーポレート・サステナビリティ評価において、不動産会社864社の中で第1位を獲得しています。
これほど輝かしい成果を挙げるに至ることができたのも、サステナビリティを重視する企業文化と、ESGデータ管理に対する体系的なアプローチという、素晴らしい組み合わせを正しく融合できたからです。
しかし、それも最初からそうだったわけではありませんでした。
エネルギー強度*をポートフォリオ全体で52%低減
エネルギーと水のコストを年間2,000万ドル削減
* 一次エネルギー総供給をGDPで割った値。低い数値ほどエネルギー効率が良い事を表す。
2. Envizi導入前 | 手動対応がもはや不可能なレベルに
想像を超える量のドキュメントやスプレッドシート、PDFファイルをやりくりし、どうにかESGデータ管理プロセスを手動でやり通している企業がこれほど多数存在しているという事実に驚かされていると語るフォード氏ですが、GPTもおよそ10年前までは他の多くの企業と同様でした。
当時のGPTサステナビリティチームは、持続可能性の旅路で困難に直面していました。エネルギー、水、廃棄物、排出に関するデータを管理するために、スプレッドシートや手動ツールで対応することがもはや不可能なレベルとなっていたからです。
他システムとの連携が不可能なレガシーシステムたちが、サステナビリティに関する非財務データの調整を阻んでいました。ESG報告書の作成は困難を極めていました。
GPTのシンクタンクは、企業の持続可能性の未来を早くから見通していました。そしてパフォーマンスの測定・管理・報告するための確かなデータがあれば、より早くサステナビリティ目標に到達できることにも早くから気づいていたのです。
フォード氏は言います。「最終的な目標は、ネットゼロまたはカーボンニュートラルです。エネルギーや気候関連の環境への影響について、それ以外を最終ゴールとしてセットしている企業がもしあるのなら、それは地球以外の星でビジネスをしていることを意味しているのでしょう。」
3. Envizi導入と、それからの進化
GPTのサステナビリティ・パフォーマンスを正確に把握し、それを指標として完全な形で提示すること。それがIBM Envizi ESG Suiteの基礎的かつ最大の役割の1つでした。
2011年に、GPTは現在「IBM Envizi ESG Suite(Envizi)」として知られているソリューションを導入し、ビル資産全体のESGデータ管理を合理化し、エネルギー・温室効果ガス算定・および普及のための単一のオーストラリア国内報告ガイドラインであるNGER(National Greenhouse & Energy Reporting)スキームなどのコンプライアンス報告に対応するようになりました。
フォード氏は言います。「私たちは、水とエネルギーを管理・監視するために10以上の異なるシステムを使用しており、その統合を検討していました。Enviziはそれを実現する上で大きな助けとなりました。
Enviziは、単一プラットフォームの共通インターフェースで、チームが必要としていたレポートとモニタリングを同時に提供してくれました。環境に対して影響の大きい主要エリアにおいては、良い情報とは適切な形で提供されるデータを意味し、それが良い決断へとつながることを私たちは学びました。」
それからの10年で、IBM Enviziはその対応範囲を拡張し成長を続けています。
現在では、設定された目標と照らし合わせてESGプログラムのパフォーマンスをトラッキングする「サステナビリティー・プログラム・トラッキング」や、高解像度のメーターに関するコンテンツを自動取得し、効率化と脱炭素化プログラムを支援するアナリティクスとワークフロー・ツールである「インターバル・メーター・アナリティクス」など、企業がサステナビリティ改善の機会を特定することや、より一層容易に管理することができる機能をIBM Enviziは有しています。
4. Envizi導入効果1 | 重複作業を払拭
複数の異なるソースからデータを取得し、形式の異なる環境データを正規化し構造化するIBM Envizi ESG Suiteは、必要なときにいつでも環境データをサステナビリティチームに提供するという極めて重要な役割を果たしています。
「Enviziのデータを環境管理システムに取り込むことができ、同じデータを財務やリースのデータと合わせて全社的な管理ダッシュボードに抽出できるということは、大変重要な進化を意味しています。
これは、エネルギー、水、材料、リサイクルに関するデータが、我われのビジネス状況を示す財務やリースに関するデータと捉えられ、それらと同様に堅牢でアクセスしやすくなったということなのです。」
社内の別チーム向け、ステークホルダー向け、規制当局向け、監査人向けなど、サステナビリティチームは多数の環境サステナビリティレポートを作成しなければなりません。IBM Envizi は、この業務の効率化にも役立っています。
「Envizi を使用すると、高レベルのユーティリティアカウント・データから非常にきめ細かいサブメーター・データに簡単に切り替えることができます。データを保証するサポートドキュメントを添付することもできます。もし、監査人が追加情報を必要とするなら、監査人にEnviziのログイン情報を提供し、必要な文書を引き出してもらえばよいのです。こうした対応が可能となったことで、納期に追われている時期であっても、サンプリングやデータ収集にかかる期間を節約することができています。」
「私には、管理下にある120もの資産に異常がないかを、それぞれ見回す十分な時間はありません。しかし、Enviziでデータ欠損レポートを作成すれば、どこにどんな欠損が生じているかを正確に把握することができるのです。
また、NGERS以外にも、サステナビリティに関する国際基準であるGRI(Global Reporting Initiative: グローバル・レポーティング・イニシアティブ)や、運用実績に基づいて建物の環境への影響を評価するNABERS(National Australian Built Environment. Rating System: オーストラリア建築環境格付け制度)、そして社内のさまざまなチームへのレポートを作成するのもお手のものです。
Enviziのデータタグ付け機能により、単一データを元に、それぞれに合わせた方法で報告書を作成できるので、以前のようにフォーマットに合わせるために何度も何度も繰り返し同じような作業をする必要がないのです。」
人手を介さず、確かな単一データを元に複数レポートが作成されることの重要性について、フォード氏はそう説明します。
5. Envizi導入効果2 | スマートな意思決定により年間2,000万ドルのコスト削減
2021年、GPTは2005年の基準値に対して82%の排出量削減を達成しました。しかし、高精度の環境データがGPTにもたらしたのは、排出量削減やエネルギー効率化だけではありません。調達をはじめとした関連分野においても、よりスマートな意思決定が可能となったのです。
フォード氏は言います。「もし私がデータのトラッキングに時間を取られていたら、調達分野で戦略的な方策を考えたり判断をするための時間は取れなかったでしょう。多くの取引先や同業者を見れば、それがどれだけ膨大なコストとなっているかは明らかです。」
最近、フォード氏とサステナビリティチームは、こうした「波及効果」の定量化に取り組みました。計算された数値は、大変大きなものでした。
「効率改善と調達の節約を差し引いた場合、エネルギーコストは年間5,000万ドル近く増加することがわかりました。つまり、エネルギーコストは約3倍となり、エネルギー費用は当社にとって2番目に大きなコストとなるということです。」
サステナビリティに関連したデータの分析により、GPTはESGの透明性を高めることにも成功しています。それをわかりやすく示すのが、「GPT環境ダッシュボード」です。このダッシュボードは、IBM Enviziが取得・管理するデータを基に作成された公開デジタル・データパックであり、GPTの2005年の基準に対する資産パフォーマンスと、現在の評価や認証がまとめられたものです。
「Enviziのサポート文書までトラッキングできるため、あらゆるデータや資料の裏付けが可能です。」フォード氏はそう述べています。
最終的な目標は、ネットゼロまたはカーボンニュートラルです。エネルギーや気候関連の環境への影響について、それ以外を最終ゴールとしてセットしている企業がもしあるのなら、それは地球以外の星でビジネスをしていることを意味しているのでしょう。
スティーブ・フォード
GPTグループ、サステナビリティ部門責任者
6. Envizi導入効果3 | サステナビリティの取り組みすべてを体系化
高精度のESGデータの維持、信頼性の高いレポート、取り組みのトラッキング、上級役員への報告、監査や認証制度の対応など、現在、IBM Envizi ESG Suiteは、サステナビリティ活動におけるGPTの業界リーダーとしての地位を確かなものとし、さらに向上させるために役立っています。
「Enviziは単なるプラットフォームという存在ではなく、当社のプロセスを体系化するパートナーとなっています。私が正確な判断を下せるのも、迅速に物事に対応することでより多くの経費を削減することができているのも、Enviziというパートナーの支援があるからです。」
フォード氏の言葉は、GPTが達成した目覚しい財務的価値と排出量削減により証明されています。
「過去15年間で、私たちの取り組みは当社のエネルギー強度を52%低減させました。これは、私たちが契約しているエコノミータイプの契約電力料金で計算すると、年間2000万ドル以上の節約に相当します。地域によっては1メガワットアワーあたり200ドル近くなっている最近の市場価格で計算すると、年間5,000万ドル近い節約となります。
Enviziが私たちのパートナーとして、常に良い情報を提供していてくれているからこそ、この結果につながっているのです。もし、電力料金の高い地域でビジネスをやっている企業が、私たちと同様の効率を上げることができたらと、想像してみてください。」
システム化によりGPTが獲得したポジティブなフィードバックについても、フォード氏は述べています。
「監査人も、Enviziをこの分野で最高のものと評価しています。GPTは10年以上前からの豊富な履歴情報とともに、厳格なデータ収集と分析を行ってきており、2015年9月にISO14001:2015が発行された際には、GPTの環境マネジメントシステムはベストプラクティスとして認証されました。」
現在に至るサステナビリティの一連の成果を振り返りつつ、フォード氏はGPTの次なるデータ主導型プロジェクトについても語っています。
「『キャプテン・プラネット』は、現在進行中の取り組みすべてを把握するプロジェクトで、上級スタッフは四半期ごと、下級スタッフは日次ベースで、結果をモデル化してトラッキングできるものです。これにより、サステナビリティの取り組みは現場まで体系化され、より明確な目標を設定することができます。
『キャプテン・プラネット』のスタートにあたり、我われは改めて製品市場調査を行いました。結果、選ばれたのはやはりEnviziでした。当社のベースライン・データがEnvizi上にあることも大きな要因ではありましたが、それ以外にも、ユーザーフレンドリーで直感的、そして強力なデータ可視化・予測ツールを備えていたことが決め手となったのです。」
当記事は『Sustainability at scale, accelerated by data』を日本の読者向けに再構成したものです。
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