IBM Cloud Partner Blog
日鉄ソリューションズ様による「IBM Edge Application Manager」検証振り返りおよびエッジ・ソリューション領域の今後の展望
2021年12月07日
カテゴリー IBM Cloud Partner Blog | IBM Partner Ecosystem | エッジコンピューティング
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日鉄ソリューションズ様(以下NSSOL様)は、日本製鉄様の製鉄所現場のDX実現を目指した活動や、通信キャリア様と協業したローカル5G提供の事業を通じて、エッジ・ソリューションの領域で先進的な取り組みをされています。
今年5月、同社とIBMはこの領域での協業を共同プレスリリースさせていただきました。
プレスリリース:NSSOLと日本IBM、協業により5G・エッジソリューションを推進
また、このプレスリリースに先立ち、「IBM Edge Application Manager」の検証プロジェクトを実施いただきました。本ブログでは、この検証プロジェクトを振り返り、NSSOL様テレコムソリューション事業部山下様、三浦様、野口様からのメッセージと、IBMの筆者によるエッジ・ソリューション領域の今後の展望をご紹介させていただきます。
NSSOL様インタビュー動画
NSSOL様のテレコムソリューション事業部について
山下 雄司 様
日鉄ソリューションズ株式会社
テレコムソリューション事業部 エンジニアリング第一部
部長
(NSSOL 山下様)テレコムソリューション事業部は、主に通信事業者様向けにソリューションを提供する部隊です。また2020年からは、一般企業向けにローカル5Gという自営無線網を提供する事業も始めています。
5G/エッジ・コンピューティングに関するNSSOL様の戦略
三浦 聡 様
日鉄ソリューションズ株式会社
テレコムソリューション事業部 事業企画推進グループ
グループリーダー
(NSSOL 三浦様)今日の企業ではDXを推進したいニーズが強くあり、その中で5Gとエッジ・コンピューティングへの関心も強くなっています。
通信事業者様も5Gやエッジを使って、新しいビジネスを作ることに関心があります。
NSSOLには、幅広い業種に対して、業務ソリューションやシステム構築の経験があると共に、通信分野におけるネットワークの構築の経験もあります。
これらを上手く組み合わせ、企業のDXニーズに対して、5G/エッジを使い、応えていきたいと思います。最近は通信事業者と一緒になって、5Gやエッジ・コンピューティングの上で、エンタープライズのお客様にどんなソリューションを提供したら良いか、検討も行っております。
検証プロジェクトを通じた「IBM Edge Application Manager」(以下IEAM)への評価
野口 尚吾 様
日鉄ソリューションズ株式会社
テレコムソリューション事業部 エンジニアリング第一部
5G Edge ソリューション・エキスパート
(NSSOL 野口様)エッジ・ソリューションとしてスマートデバイスを宅内に大量に配置し、その中でAIや機械学習を使って映像やデータを高度に活用するようなことが想定されます。
こうした環境では、多種多様なデバイスが存在し、その上のアプリケーションを自律的かつ動的に管理することが重要になります。
IEAMは、そこで有効なソリューションと評価しています。
製品としてとてもシンプルで使い易く、エッジ環境での管理を大幅に効率化出来ることが確認出来ました。加えて、エッジのアプリケーションが多様化していく中で、エコシステムを活用していくためには、オープン性も大事だと思いました。IEAMに関してはオープンソースに基づいて開発されており、Linux Foundationのようなオープンな場での議論や開発を通じて、今後の機能や対応するユースケースがさらに充実されていくことを期待します。
5G/エッジ・コンピューティング領域でのNSSOL様とIBMの協業への今後の期待
(NSSOL 三浦様)5Gやエッジに関するニーズは今後幅広くなり、また、難しくなっていくのではと考えています。業界も製造業、流通業、公共と、幅広いところから色々なニーズが生まれます。その中で、クラウドとエッジで共通のオープンなテクノロジーが重要になり、エッジ領域を含めたネットワークの自動化や、AIの実行が重要になると思います。
IBMに対してはIEAMだけでなく、IBM Cloud SatelliteやCloud Pakにも期待しています。これらのソリューションを使って、お客様の5G/エッジ・コンピューティングに関わるトータル・ソリューションを提供していきたいと思います。
エッジ・ソリューションの全体観
ここで、前述三浦様の「IEAMだけでなく、IBM Cloud SatelliteやCloud Pakにも期待」というお言葉を少し掘り下げるため、「図1エッジ・ソリューションの概念図」をご紹介させていただきます。
左に行くほど工場などの「モノ」の世界で動く構成要素で、右に行くほどコンピューティング・パワーが集中したクラウド的な構成要素です。カスタマー・エッジは「モノ」に近いところでデバイスからのデータを集めてコンピューティング・パワーを提供し、ネットワーク・エッジとは通信ネットワーク基地局上のエッジで、5Gでは、ここで言うネットワーク・エッジの活用が期待されています。
左に行くほどネットワーク遅延を回避し、低レイテンシーを実現しますが、集約度の低下からデータ処理・保存のためのコストは高くなり、逆に右に行くほどネットワーク遅延が避けられませんが、集約度の向上からデータ処理・保存を効率的かつ大規模に行うことが出来ます。
AI活用では、モデル開発(学習)は、重いバッチ処理かつ大量データ保管が必要となる傾向がある一方、エッジ側からの低レイテンシーが求められることは少ないので、右側のクラウドが適し易いです。
これに比べ、エッジ・デバイスで取得したデータをAIモデルにかけて結果を返す推論処理は、工場であればラインのオペレーションに組み込まれますから、まとめて処理すれば良いというわけにはいかず、流れるデータ容量や、求められるレイテンシーによって適した場所に配置する必要が生じます。
図1のエッジ・コンピューティングのアーキテクチャーは、こうした適材適所なコンピューティング・パワー配置の必要性に対応するものです。画像解析、音声解析、数値/テキスト解析は、必ずしもこの場所にあるべきということではなく、相対的にデータ容量が大きい方から画像、音声、数値/テキストデータの順で、画像解析の処理は、左側のエッジ寄りへの配置が必要となる傾向が強くなることを意図しています。
IEAMの役割
IEAMは、図1中「エッジ・アプリケーション配布・管理」で示している通り、アプリケーション配布先のエッジ・デバイス、カスタマー・エッジ、ネットワーク・エッジ、プライベート/パブリック・クラウドにエージェントを導入し、そこへコンテナ化したアプリケーションの配布とライフサイクル管理を行います。大規模・多種多様なデバイスとクラウド環境が混在する環境で、継続的に追加・変更を行うダイナミックなアプリケーション管理を可能とし、エッジ・コンピューティングをクラウド・ネイティブなスタイルで実現します。
IEAMの動きを示すチャートを図2に示します。
IBM Edge Application Managerについてもっと知りたい方はこちらへ
エッジ・ソリューションの今後の展望
大規模かつ高度なエッジ・ソリューションを見据えた時、多種多様なデバイスとクラウド環境の構築から運用管理、アプリケーション・レイヤーではAIの活用と、関係する技術領域は多岐に渡ります。
図1では、IEAMによるアプリケーション管理のほかに、大きく次の2つの領域を示しています。
- 図1中段の「AIモデル開発・管理」や各種「エッジAI実行/データ収集」といったAI活用に関わるミドルウェアからアプリケーション。IBM製品としては、IBM Cloud Pak for Data(データ・プラットフォーム) やMaximo Visual Inspection(画像解析)が対応。
- 図1下段でOSやDB等のミドルウェア環境をエッジに用意する「エッジ・プラットフォーム」。IBM製品としては分散クラウド・サービスのIBM Cloud Satelliteが対応。
今回NSSOL様が検証されたIEAMに加え、こうした技術を組み合わせ、NSSOL様、そして、他にも様々な立ち位置や強みを持つビジネス・パートナー様とのエコシステムを構築して参りたいと思います。
関連リンク
IBM Cloud Pak for Dataについてもっと知りたい方はこちら
Maximo Visual Inspectionについてもっと知りたい方はこちら
IBM Cloud Satelliteについてもっと知りたい方はこちら
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