IBM Sustainability Software
[事例] アムステルダム・スキポール空港 | 世界をリードし最も好まれるデジタル空港へ
2021年08月03日
記事をシェアする:
アムステルダム・スキポール空港は、2017年には約7000万人の乗客と180万トンの貨物が移動する、ヨーロッパで3番目に大きな空港となりました。この2年弱はコロナ禍の影響にありましたが、この夏を境に、また活況が戻ることでしょう。
しかしここで断言しておきたいのは、私たちスキポール空港は、規模を追っているわけではないということです。
私たちが目指しているのは、スキポール空港をマルチモーダルな世界のハブ空港としてさらに発展させ、ヨーロッパで最も好まれる空港という地位を確実なものとすること — 旅行者にも、航空会社にも、ロジスティクス・サービスプロバイダーにとっても — 常にスキポール空港が第一候補であることが最も重要だと考えています。
スキポール空港がデジタルトランスフォーメーションに取り組むのには、少なく見積もっても約8万の理由があります。エスカレーター、トイレ、照明…。およそ7,000エーカーの空港敷地に、8万のこれらの設備が広がっているからです。
スムーズで満足のいく空港体験をしていただくためには、これらの1つ1つすべてが重要であり、どれも欠かせないパズルのピースです。
設備を止まらせずに稼働させ続けるということは、芸術と科学の壮大なコラボレーションです。そして保全管理プロセス最適化は、私たちの変革ストーリーの骨子となるものなのです。
■ 先手を打つ予測とすばやい対応で「最高の体験」を後押し
設備保全には2つの異なる方法があります。事後保全と予知保全です。
事後保全の最適化とは、主にサービスオーダーの予約、引き渡し、処理の速度とスムーズさに関するものです。要するに、すばやく修正することにより、空港利用体験の悪化を妨ごうというものです。
一方の予知保全とは、資産が故障する可能性を減らすために、高度で先を見越した措置を講じることです。データと予測モデルを使用して、資産の故障タイミングを割り出し、それらに先手を打ち修理を施すことで利用客の体験への影響を最小限にするものです。
私たちは両方の手段を講じています。従来からのIBM Maximoを活用した設備管理に関する長年の経験に、モバイルでの作業指示管理やIoT、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング。建物の3次元デジタルモデルを使った分析・管理手法)やデジタル・ツインなど、Maximoの提供する新たな機能を組み入れています。
結論として語るにはまだ早すぎるタイミングではありますが、すでにさまざまな面で大きな成果が見られています。
■ モバイルとオフライン機能で、作業指示をどこでも確認
一例として、作業指示管理を取り上げます。私どもの以前のシステムでは、専門の作業スタッフの1人が作業指示書を受け取り、現場に着いて設備を修理するまでに数時間かかる場合がありました。
作業員向けモバイル・アプリ「Maximo Mobile」を用いるようになってからは、彼らがターミナルのどこにいるかに関係なく、すぐに指示を受け取って作業に向かえるようになりました。
Maximo Anywhereがオフライン機能を有していることの意味は、地下やエレベータシャフトなどの遠隔地で働く作業スタッフにとって本当に大きなものとなっています。
また、故障予測精度を大幅に改善するために、センサーを用いる計画も進んでいます。Watson IoTとMaximo Healthにより、いつ誰がどのプロジェクトのどの設備の整備に取り組むべきかの決定を、機械学習と予測モデルで自動化していきます。
■ デジタル空間でのコラボレーション
最後に、絶対に忘れてはならないことをお伝えします。「空港保全管理とはチームワークに他ならない」ということです。
設備管理にBIMを組み込んだことにより、私たちはスキポール空港のデジタル・ツインを生みだすことができました。そしてMaximoに3次元デジタルモデルが取り入れられたことにより、作業スタッフたちは設備の詳細を3Dで確認しながら作業やコミュニケーションをできるようになり、より深いコラボレーションを行えるようになりました。
作業スタッフには、設備やロケーションの詳細情報が必要です。そしてきちんとそれらの情報を提供するということは、スタッフの働きやすさとチームワークを我われは大切にしているという、重要なメッセージを伝えることでもあるのです。
今回お伝えした取り組みは、すべて「機能しない設備」が顧客体験価値を損なってしまうリスクを最小限にし、満足度を向上するための取り組みです。そしてそれこそがデジタル変革の本質なのです。
これからもヨーロッパで最も好まれる空港であり続けるために、スキポール空港は、デジタルの力を活用してお客様の喜びを大空にひろげていきます。
動画[アムステルダム・スキポール空港 | 設備保全管理のデジタル・トランスフォーメーション]の視聴はこちら
当記事はアムステルダム・スキポール空港職員のSebastiaan de Sterke氏による寄稿記事Schiphol aims to be the world’s leading digitally innovative airportを、日本の読者向けにリライトしたものです。
問い合わせ情報
関連記事
IBM Maximo、今回もIDC MarketScapeのSaaSおよびクラウド対応アセット集約型EAMアプリケーション分野のリーダーに
「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む
「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む
日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。 石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む