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気象データ活用ビジネス最前線<第二回 | 三井化学様> セミナーレポート

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株式会社オートバックスセブン様をゲストに開催した「お客様事例から学ぶ、気象データ活用ビジネス最前線」第一回に続き、三井化学様をゲストに迎えた第二回が12月17日に開催された。その模様をダイジェストでお伝えする。

 

■ IBM Weatherソリューション紹介 | セッション1

 

最初のセッションは「IBM Weatherソリューションのご紹介」と題し、AI Applications事業部の加藤陽一が講演した。

 

気象データはすべての業種にインパクトを与える

「小売り、物流、農業、エネルギー、自動車。すべての業種において、気象データをビジネスに活かすことで大きなインパクトを生み出すことができます。例えば、小売りや物流であれば消費者の行動を先読みしたり、農業であれば収穫量や品質をより良くするための示唆を得たり、エネルギーであれば電力のより正確な受給予測により受給バランスを適正にできます。」

さらにいくつかの業種における事例を話した後、加藤は「企業の気候変動への対応力が問われるようになる中、銀行や保険などの金融業界でのIBMのウェザー・ソリューションの採用が進んでいます」と話した。

機関投資家だけではなく、個人投資家の間でもESG(環境・社会・企業統治)投資が一層本格化していく潮流を考えれば、当然と言えることなのかもしれない。

 

しかし、気象データをビジネス向けに提供している企業やサービスが複数ある中、なぜIBMのウェザー・ソリューションが選ばれているのだろうか?

複数の要因が考えられる中、加藤が一番のポイントとして挙げたのは、取得対象とするデータの範囲や種別の幅広さ、そして頻度やきめ細かさが、他社のそれを大きく上回っているからだという。

 

気象情報の取得方法も、一般に予想されるものよりもはるかに広い。一例を挙げてみよう。

宇宙を飛ぶ気象衛星や地球上のさまざまな場所に設置されている気象レーダー、政府機関の気象観測所 — これらは容易に想像がつくものだろう — これらに加え、世界中を飛んでいる航空機のセンサーから送られてくる気象データや、個人が設置しているパーソナル・ウェザーステーション、そして3億人を超える個人ユーザーが使用しているiPhoneに標準搭載された「天気」アプリが取得している気圧情報など、全世界から毎日、22億ロケーションの500億件を超える気象情報が生成されているという。

加藤は、その提供項目の他社との違いを以下の表で説明した。

気象データ項目他社比較

 

■ 三井化学の太陽光発電診断 | セッション2

次に登壇したのはゲストの三井化学株式会社 新事業開発センター エネルギーソリューション室 室長の塩田剛史氏だ。塩田氏は「三井化学の太陽光発電診断」と題し、太陽光エネルギーに関する三井化学の高い知見と、詳細気象情報とのかけ合いによりそれを活かしていく計画について話をした。

 

高精度の発電量未来予測・需要未来予測などを来年度中に提供予定

このセミナーの3日前に、三井化学は日本IBMとの連名にて以下ニュースリリースを配信している。

太陽光発電関連 新ソリューションの共同開発について

 

リリースのポイントは以下の3点だ:

  1. 三井化学と日本IBMが、両社のデータやノウハウを活かし、世界各地の日射量を高い精度で算出する技術を開発して精度検証を行った
  2. 両社は、日射量および太陽光発電量未来予測サービスのプロトタイプの開発と販売展開計画を作成した
  3. 新サービスの販売展開は2021年度中のスタートを目標としており、内容は「IBM Environmental Intelligence Suite」を利用し、三井化学が持つ太陽光発電所の発電量に関わるデータをAIに学習させ、高精度の発電量未来予測・需要未来予測などを提供するものとなる予定

 

それではここからは、三井化学の太陽光発電への取り組みと、太陽光発電診断・コンサルティング事業を中心に、塩田氏の講演の一部を紹介する。

三井化学は100年近い歴史を持つ総合化学メーカーであり、その最主要事業はポリマー(化合物)の開発、加工による生産・供給だ。

その一方で幅広く新規事業にも取り組んでおり、特に太陽光発電に関しては太陽光パネル封止材(ソーラーパネルの性能・寿命を大きく左右するパネル部品の接着シート)の製造・販売に30年以上にわたり取り組んできた経験を持っている。

 

1980年代に国家プロジェクトとしてスタートした「ニューサンシャイン計画(エネルギー・環境領域総合技術開発推進計画)」に伴い建設された太陽光発電施設では、その多くが子会社の太陽光パネル封止材を用いていたという。

そうした太陽光発電に関する長い歴史の中で、塩田氏を中心に三井化学が積み重ねてきたのが、太陽光パネルの劣化や破損についての知見と経験だ。

 

三井化学ならではの知見や経験を、太陽光発電に活かすために

「三井化学はさまざまな発電所の運営・維持管理を行っており、中には使用状況や経年度数の異なるさまざまな気象環境下で用いられてきた太陽光パネルを揃えている施設もあります。その他、故障の影響を把握・調査するための実証実験サイトや、4種類の異なる太陽電池モジュールを持つ太陽光発電所などにも関与しています。

こうした施設での経験を通じて、同じ素材や製品の劣化や損傷の比較や、太陽光パネルだけではなくケーブルやコネクタなどの経年劣化など、他社にはない総合的な調査研究を通じた独自データとそこからの洞察を得ています。」

塩田氏はそう語ると、そこからの知見や経験こそが、今回発表された「高精度の発電量予測」サービスの基盤となっていることを示した。

 

なお、三井化学は上記の自社での取り組みに加え、世界のさまざまな研究機関や施設とも積極的なコラボレーションを行っている。

太陽光発電エンジニアリングの研究・開発を行い、世界市場に太陽光パネルに関するサービスを提供しているドイツの認定試験所(PI-ベルリン)や、電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関である国際電気標準会議(IEC)などがその一例だ。

そうした活動も、太陽光発電に関与している人や組織、そして今後発電所の創設や開発、購入などを検討している人や組織に、自社のノウハウや経験値を有効に活かしてもらうためのものだと塩田氏は語った。以下はその一部を示した図だ。

新規ビジネス創出 – 太陽光発電診断

 

実績が物語る三井化学の太陽光発電診断とコンサルティング事業

ここからは太陽光発電診断とコンサルティング事業について見ていこう。

2014年から行っている診断・コンサルティング事業は、現在までに1,000を超える発電所を取り扱ってきており、日本国内で流通している電力容量から見ると、およそ1/10もの電力容量に携わってきたことになるという。

それだけ多くの発電所から求められ、とりわけその強みが発揮されているのが、実際の発電量データからその発電所が健全運用され予測される量に見合う発電ができているか、それができていない場合その原因が何かを解析していく三井化学の「実績発電量解析」だという。こちらも、すでに700を超える発電所での実績があるという。

太陽光発電診断とコンサルティング事業の実績

 

こうした実績を元に、これからスタートしようとしている新たなサービスの鍵を握るのが、より正確な発電量予測だ。その実現には太陽光パネルの詳細な位置に見合うメッシュの細かい日射量をはじめとした気象予測データが不可欠だと塩田氏は語った。

 

この後、太陽光発電所の健全運用のポイントや「電力需給最適化サービス」の開発についての詳細な説明があったが、ここでは時計の針を進め、次の登壇者であるAI Applications事業部の高田颯の講演の中から、「IBM気象予測の正確性」と「機械学習による日射量予測精度改善の取り組み」について見ていこう。

 

■ IBM気象予測技術の特長 | セッション3

 

「気象予測技術の前に、まず多くの皆さんが気にされる気象予測精度についてご紹介します。IBMの気象データが世界でもっとも正確であることはForecast Watchという第三者機関が認めています。

社名はここでは消していますが、下の図の濃い青色がIBMの気象予測データで、US、ヨーロッパ、アジアの全ての地域で最も精度が高いものであるというデータが証明されています。

そしてまた、予報の期間である1日から3日先、3日から5日先、6日から9日先のすべての予報期間においても同様で、世界で最も正確な気象予測データ提供会社であることが認められています。

なお、世界最高なのは精度だけではなく、地域のきめ細かさという点でも他に類をみないものとなっており、1kmメッシュで予測を提供できているのは全世界でもIBMだけです。」

IBMの気象予報正確性の他社との比較

 

高田は続いて、IBM独自の気象予測センターと確信度付き予報について説明したが、ここでは先述した機械学習による日射量予測精度改善の取り組みについて紹介する。

 

世界最高の精度ときめ細かさを持つIBMの気象データから生みだされる日射量予測

IBM Environmental Intelligence Suiteには、再生可能エネルギー事業者向けに15日先まで1時間刻み、さらに9日先まで15分刻みのRenewablesという日射量予測データを提供している。

これだけでもかなりの細かさだが、さらに高い精度の日射量予測を求めるお客様向けに、機械学習による個別モデル構築も行っているという。

「Renewablesに加えて、気温、気圧、雲の量などの汎用的な気象予測のデータを組み合わせて機械学習を行うことで、より精度の高い全天日射量予測の提供が可能となります。

下のグラフは改善前と改善後の期間別予測誤差の比較ですが、最大で35.7%も精度が向上しました。」

高田はそう言うと、下記のグラフを示してその講演を終えた。

機械学習による日射量予測精度改善の取り組み

 


 

セミナーの最後にはQ&Aタイムが設けられ、参加者からの活発な質問に登壇者3名が答えていった。

今回、当記事をご覧いただき、IBM Weatherソリューションや気象予測技術にご興味を持たれた方は、ぜひ下記のお問い合わせよりご連絡をいただきたい。

関連ソリューション: IBM Environmental Intelligence Suite

 

問い合わせ情報

 

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TEXT: 八木橋パチ

 

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