IBM Sustainability Software
清潔で安全な水をケニアに | IoTで水不足の危機に活路を
2020年08月14日
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■ 世界的な水不足 – ケニアの場合
アフリカ、インド、そしてアメリカからイギリスまで、水不足が世界的な問題となっています。そしてこの大問題は、より広範囲に広がり、そしてより深刻さを増しています。
ケニアでは、過去60年間で最悪とも言われている2011年の「東アフリカ大干ばつ」以前は、比較的浅い井戸と地下水ハンドポンプの設置量を増やすことで水不足問題に対応してきました。
しかし2011年以降、それでは水不足を補えなくなっています。枯れ井戸や、ハンドポンプの故障が増加しているのです。
■ 生活の質(QoL)を好転させるIoTとコラボレーション
ケニア北部に水と衛生をもたらす「Kenya RAPID」プログラムは、米国国際開発庁(USAID)とスイス開発協力機構の資金提供によりスタートしました。
プログラムの目的は、関係者と地域コミュニティーを結びつけ、ケニア北部の地域住民の生活レベル向上を支援するもので、現在ケニア北部では干ばつ期間でも安全な水が入手できるよう、電動式でより深く掘削する深井戸への投資と設置が進んでいます。
IBMは水不足解決への取り組みの一環として、ケニア北部の乾燥地域に住む人びとに安全で清潔な水を供給するために、水資源の監視と未来への洞察を生みだすためのスマートテクノロジーを適用する大プロジェクトをスタートしています。
SweetSense社と協力し、ケニア北部に水と衛生をもたらす「Kenya RAPID」プログラムに、水流センサーのIoTネットワークを構築し提供しています。このクラウドベースの水資源管理プラットフォームを通じ、私たちはケニア北部の水資源の管理改善を支援していきます。
アフリカ各地に研究施設を持つIBM Research-Africaは、水流センサーのIoTネットワークを使用して、地下水抽出データに基づいた消費と供給のパターンを分析・提供する、クラウドホスト型の水管理プラットフォームを開発しました。
この水流センサーIoTネットワークは、深井戸の掘削穴に障害が発生した場合、給水場に設置された水流センサーが自動で信号を修理・メンテナンスチームに送ります。
IoTによる管理で修理などの対応が迅速に行われるようになった結果、地域住民は以前よりもはるかに長期にわたり、給水場を使用できるようになりました。
そして水管理プラットフォームは、水資源管理者に漏水や盗難、計測の不正確さによる水の損失を減らすための洞察を提供します。
■ 水資源管理プラットフォームの主要利点
- ケニア北部5地区(カウンティ)内全域にわたる給水場の位置を確認できるインタラクティブマップの作成。それを活用した管理。
- SweetSense社のIoTセンサーによる水使用量や故障、修理データの収集。
- 各地区ごとの給水所の詳細と、窓口や責任者などの管理体制をいつでも確認できるデータベース。
プロジェクトの対象地区となっているガリッサ、イシオロ、マルサビット、トゥルカナ、ワジール西のケニア北部の5地区は、貧困の割合も高く、水だけではなく食べ物へのアクセスも厳しく、基本的な住民サービスも整っていない地区です。
IBM Research-Africaのナイロビの研究施設で水資源管理プラットフォームに取り組んでいるアイシャ・ウォルコット-ブライアント博士は、清潔な水をケニア北部の40万人を超える人びとに届けようとしています。
そしてまた、人間だけではなく、家畜に安全な水を与えることで、地域の人びとの生活基盤を支えようとしています。そして生活基盤の安定は、子どもたちの教育へと続き、未来の暮らしの豊かさへと続きます。
私たちは各地区のコミュニティに繁栄して欲しいのです。そして特に水へのアクセスに対しては、自分たち自身で、自らの運命を決めていって欲しいのです。
アイシャ・ウォルコット-ブライアント博士
IBM Research-Africa
ケニア全土では、4,600万人の人口のうち、1,700万人が清潔で安全な水へのアクセスに困窮しています。私たちはこのプロジェクトを成功させ、同様の取り組みをケニアの別地区やアフリカの他の国にも展開できるものとしたいと願っています。
■ 100万米ドル分の清潔な水を寄付
IBMはWeather Channelと共に、水危機を乗り越え、清潔な水が世界に行き渡るよう取り組んでいます。
水問題についての意識を高めるための活動に加え、今年は清潔な水を必要としている人びとに100万米ドル分の清潔な水を寄付します。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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TEXT: 八木橋パチ
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