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東京デジタルイノベーション2020 「エッジ・コンピューティングの活用で変わる、これからのITとIoTの考え方」セッションレポート

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2020年2月にプリンス・パークタワーで開催された「東京デジタルイノベーション2020」から、「エッジ・コンピューティングの活用で変わる、これからのITとIoTの考え方」セッションの一部をダイジェストでお伝えします。

 

セッションは、まず1人目のスピーカーとして登壇した土屋敦による、エッジ・コンピューティングの最近の事例紹介からスタートしました。

AI Applications  土屋 敦

 

■ エッジ・コンピューティングの4事例から

まず、本日会場にいらっしゃっているお客さまの多くは、エッジ・コンピューティングになんらかの興味をお持ちか関わりをお持ちの皆さんだと思います。

それがどんな効果をもたらし、IBMがそれにどう関わっていくのかという話をする前に、まずはいくつかの事例を紹介したいと思います。

 

最初は「海のF1」とも呼ばれるパワーボート・レースの例です。

最速200キロ近いスピードとなるパワーボートに搭載したセンサーが、エンジンをはじめとした機器の状態をリアルタイムに可視化して分析し、チームに次のアクションを伝えたり、故障などに備えるためのアラームを送っています。

このスピード感においては、クラウド側にデータを送りそこから分析がスタートするというスピードでは間に合いません。このようなIoT事例はエッジ適応によるメリットを大きく得られる例です。

 

次に、シュガークリーク社というクラフト・ビール醸造の事例です。

こちらはビールをボトル充填する際に不均一性から発生していた毎月300万円もの生産ロスを、ボッシュ社のセンサー・カメラを利用してリアルタイム監視することにより大幅に低減したというケースです。センサー・カメラがエッジとして働くことにより、リアルタイム性を大幅に高めています。

 

つづいて地下鉱山採掘大手のサンドビック社の事例となります。

サンドビック社はIoTを活用し、掘削機や関連アプリケーションから届くデータを統合・分析してリアルタイムにダッシュボード表示していましたが、掘削現場の多くはトンネル構内や地中深くに位置しており、厳しい通信環境からクラウド活用にさまざまな課題が発生していました。

そんな中、現在サンドビック社はクラウド側でのAI処理ではなく、エッジ・コンピューティングを活用した、より精度の高い故障検出とアラート発信を実現する仕組みにまさに取り組んでいます。

 

最後に、こちらはこれまでとは異なるタイプのもので、ソニーさんが開発された「SPRESENSE(スプレッセンス)」というシングルボード・コンピュータです。

エッジ・コンピューティングを考える上で「低電力」「処理性能」「センサーとの親和性の高さ」は外せない要素です。ボード・コンピュータというと多くの方が「Raspberry Pi (ラズパイ)」をイメージされると思うのですが、SPRESENSEはIoTとAIの活用を最初から想定して作られており、活用範囲の広さと組み込み開発の簡易さに特長を持っています。

私のチームメンバーも今、ソニーさんと一緒にいくつかのプロジェクトで、SPRESENSEとIBM Maximo Asset Monitorとの連携を検証しているところです。

 

この後、クラウド・ソフトウェアの中島さんにバトンタッチし、IBMのエッジ・コンピューティングについてより詳しく語っていただきますが、その前に私が考えるエッジ・コンピューティングのポイントをお伝えします。

 

これまで「どのようにクラウド化するか」や「いかに的確にアラートを上げるか」という観点で語られることが多かったITやIoTですが、これからは「OT(Operational Technology: 制御・運用技術)といかに組み合わせ結びつけるか」が最も重要なポイントとなるでしょう。ITやIoTがビジネスのプロセスを結びつける架け橋となることが求められているということです。

そしてクラウドもエッジも、単体での個別最適化とならないよう、全体を俯瞰したエッジ・フレームワークによる全体最適化を進めていくことが重要です。

 

■ エッジ・コンピューティングのビジネスメリットと管理

 

Cloud Software  中島 由貴

 

超高速や多数同時接続が謳われている5Gが、もうすぐ日本にも到来します。ただ、IIoT(Industrial Internet of Things: 産業分野におけるIoT)の現場である各工場や店舗では5Gが使えないというケースも少なくないでしょう。

そして大量デバイス、大量データによりデータが増え続け、ネットワーク負荷が今後も一層高まっていくことを考えると、今後はIoTセンサーとクラウドという2層構造での考えや旧来の意味での組み込みだけではなく、より幅広い形態でエッジ・コンピューティングを活用して超高速応答や大量データを処理していくこと、そして多様なエッジ・レイヤーを一元管理していくことが重要となります。

 

それでは、エッジ・コンピューティングの技術的メリットから見ていきましょう。

エッジ・コンピューティングの技術的メリット

  • 低遅延・無遅延 – クラウドとの往復はデータ処理において避けることのできない遅延を引き起こす
  • ネットワーク帯域 – 分析のためにすべてのデータをクラウドに送信することは多くの状況で不可能
  • 継続的運用 – 切断された状況でも中断せず完全な処理や自立的な計算の必要性が高まっている
  • プライバシー/セキュリティー – データレジデンシー法および規制を遵守するためには、データは生成された場所に残す必要がある

 

次に、ビジネスメリットと活用例を分類してみます。

エッジ・コンピューティングのビジネスメリットと活用例

  • リアルタイム成果 – ATMや発券機などの無人端末アプリケーション / コネクテッドカー搭載のアプリケーション / つながる工場での製造品質管理 / 小売業での在庫の通知と管理 / 労働者の安全管理
  • レジリエンシー
(継続性) – 切断中の連続操作 / 遠隔地での操作
  • セキュリティー – 数千のサイトでアプリをリモート保護 / サイトへの攻撃の影響範囲の縮小 / データの作成場所での処理 / 地理的境界内でのデータ保持

 

これらの多くのメリットを得るために、エッジ・コンピューティングの実用的アプリケーションが数多く生まれています。

そして「ネットワークエッジ」「エッジサーバー」「エッジデバイス」「IoTセンサー」と、エッジの配置方法もさまざまな組み合わせが用いられるようになっています。それに伴い、エンタープライズ・スケールでエッジ・コンピューティングの活用を進めているお客さまにとっては、「複数のエッジ・レイヤーをどう一元管理するか」最重要課題となってきています。

 

こちらのチャートはIBMのアプローチを示したものです。

 

DockerとK8s(Kubernetes: クバネティスの略)プラットフォームを活用して、ハイブリッド、マルチクラウドからエッジまでをカバーする、エッジ・レイヤーの一元管理を実現しています。

従来の「デバイス毎に分断されたオペレーション」や「人手によるオンサイトでの管理保守」から、「集中型のITオペレーションによる管理保守工数・費用削減」へ、そして「新機能提供を加速しサービスレベル向上」を実現したいお客さまには、ぜひ、私たちにお声かけいただければ、より詳しく皆さまのご希望にお応えする方法をお伝えさせていただきます。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

 


最後に、セッション終了後にスピーカーのお2人に1つ質問してみました。

 — エッジ・コンピューティングのもたらす価値についてよく分かりました。
でも、なぜ「IBMのエッジ・コンピューティング」が良いのでしょうか?

それは、IBMとRed Hat(レッドハット)が一体となって、エッジ・コンピューティングとその管理方法を推進しているからです。

K8s自体はオープンソースであり誰もが簡単に用いることのできるテクノロジーですが、多種多様な状態で展開されるエンタープライズ規模で考えると、手法を誤ればとても管理しきれるものではありません。

 

企業向けのK8sを支援し続けてきたRed Hatと、エンタープライズレベルのマルチクラウド環境を支援し続けてきたIBMとが、強みを相互補完しあう形で提供しているのが「IBM Edge Computingプラットフォーム」です。

「IBM Edge Computingプラットフォーム」なら、今すぐに成果を得たいという短期的な視点を重要視するお客さまにも、複雑曖昧で不確実性の高い将来を見込んだ長期的な視点を大切にされるお客さまにも、両者に自信を持ってお勧めできます。スケーラビリティーの観点で、現時点でIBMのエッジ・コンピューティングを超えているものは存在していないのではないでしょうか。

 

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

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(TEXT: 八木橋パチ)

 

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