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お客様との信頼関係の築き方-IBMコンサルティング流 営業職のコミュニケーション【Shift! #2】

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日本IBMの事業の柱の1つであるIBMコンサルティングでは、2021年10月のブランド創設以来、時代に即したビジネスを、これまで以上に迅速に、そしてより多くの共感とオープン性を持って進めています。社員はプロアクティブに自らの日々の行動や成長のあり方、お客様との関係性の築き方を見つめ直す取り組み始めました。本シリーズでは、IBMの多彩な職種ごとに、社員がどのように自らの成長や仕事に向き合い、IBM Consulting Way(行動規範や仕事の流儀)を実践しているか紹介します。第二回は、「お客様と信頼関係を築く」ことを大切にしているIBMコンサルティングの営業職の3名に、コミュニケーションの秘訣を聞きました。

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三上 暢仁 (Nobuhito Mikami)
日本アイ・ビー・エム株式会社IBM Consulting, オートモーティブ事業部所属。 自動車サプライヤ様を中心としたクライアント・セールス・コンサルタントとして、主にコンサルティングなどのサービスビジネスの案件創出からクローズまでをリードしている。

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村尾 陽香(Haruka Murao)
日本アイ・ビー・エム株式会社IBM Consulting, 金融サービス事業部 所属。 大手銀行様を担当する営業部員として、コンサルティングを中心にお客様のビジネスをご支援している。

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瀬尾 浩平(Kouhei Seo)
日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM Consulting, 金融サービス事業部所属。大手銀行様を担当する営業部長として、コンサルティング、システム構築、システム保守などのサービスビジネスをリードしている。

はじめに

IBMコンサルティングの社員の行動指針(IBM Consulting Way)の一つに「私たちは、お客様と信頼関係を築きます」という言葉があります。お客様の信頼を構築することが、社員、企業としての成功の基盤であり、お客様との関係は 「取引」ではなく、「絆」として深めるもの、という考え方です。
では、お客様とより良い信頼関係を築くにはどうすれば良いでしょうか。本記事では、お客様の身近な存在として日々お客様の声に耳を傾け、お客様の求めているテクノロジーや必要な情報をご提供するIBMコンサルティングの営業パーソンから、お客様との信頼関係を築く際に大切にしていることをインタビューしました。

1. 耳の痛いことでも、お客様のことを思って正直に助言する

 
-製造業のお客様を担当するIBMコンサルティング 営業の三上さん、プロジェクトの現場でお客様との信頼関係の築くうえで大切にしているのはどんなことですか。
 
ijds-sb04-a三上: 「本当にお客様のためになること」であれば、お客様にとって都合の悪いこと、耳の痛いことであっても、お客様のことを思って正直に助言することです。
日頃の生活の中で、相手にとって気分のよくないことは言い出しくいものですよね。ましてやお客様を相手にしている場合は、厳しい指摘や反対意見を述べたら気分を害されるのではと考えてしまいがちです。私もかつてはそうでしたが、ある出来事をきっかけに、私は考えを改めました。
詳しくお話ししましょう。それは私がある製造業のお客様のITグランドデザインの策定を行っていたときのことです。プロジェクトのあるフェーズの終盤に差し掛かった頃に、お客様側の新任の役員の方が新たに参画されることになりました。いわゆる「声の大きい方」です。IBMチームとは意見の相違があり、2度にわたるPM交代の要求、度重なる方針の変更、数々の要求事項が入りました。さらにプロジェクトの最終報告の場で「イメージと大きく違う」と厳しいご意見(いわゆるダメ出し)を頂くに至りました。私のチームにとっては大ピンチの状況です。
詳しくは述べませんが、実はその時にお客様から出された要求内容は理にかなっておらず、もしIBMを打ち切って他のベンダーに交代したとしても同じような状況に陥ることになったと思います。このままではプロジェクトが頓挫するだけでなく、お客様のビジネス計画に支障をきたしてしまうことを、お客様自身が気づいていらっしゃらない状況でした。
しかしそのことをお客様に指摘すれば、お客様との関係が悪化してプロジェクトが破綻するかもしれないと悩みました。

- お客様からの厳しい苦言、お客様との関係を回復するため取った行動は

悩んだ末に私がとった行動は、とにかくお客様のことを第一に考え、正直に助言することでした。
変更要求の内容についてだけでなく、お客様の意思決定プロセスそのものに問題があることについても、会議の場で率直かつ正直に述べました。清水の舞台から飛び降りるような気持ちだったのを覚えています。
お客様が気分を害されて、出入り禁止を言い渡されることも覚悟していたのですが、驚くことに、そのあとお客様の中で変化が起こりました。私からの提言を受け、お客様内でいろいろな観点で議論がなされ、最終的にIBMとの協業を継続する道を選んで下さったのです。それからは、以前よりずっと多くの質問や相談を頂くようになりました。
雨降って地固まると言いますか、それまで以上にお客様と厚い信頼関係を築くことができたのです。この経験から得た教訓は、言いにくいことでも、お客様のことを思って正直に助言することが大切だということ。それには勇気が要りますが、本音で会話する、腹を割って話すプロセスがあってこそ、お客様との関係性を高みに持っていくことができるのだと実感しました。

2. 雑談の中からお客様の困りごとを察知する

-銀行のお客様を担当しているIBMコンサルティング 営業の村尾さんに聞きます。雑談の中で気づいたお客様の困りごとから案件の獲得に繋がったそうですね。お客様とはどのように信頼関係を築いているのでしょうか。

ijds-sb04-b村尾: 営業職の多くの方は、お客様のためにご支援したいという思いがあると思います。わたしも、お客様のビジネスの成功のためにIBMとして貢献できることは何か?と考えながら活動をしています。
営業として、IBMをご採用いただくことは当然のミッションですが、それが最優先事項ではないと思っています。何よりも、お客様に最善の選択をしていただく。そしてそのパートナーとしてIBMを選んでいただけるように最大限のご支援をする、というのが私の信条です。
日々の営業活動の中で、お客様の困りごとを知る絶好の機会は、会議の硬い雰囲気の中ではなく、日頃のちょっとした会話や雑談の中にあります。そのための特別なアプローチ法などは無いのですが、私が気をつけていることは、お客様の声を聴き逃さないことです。

カウンターパートのお客様と回数を重ねてお会いすることは営業の基本ですが、ただ会うだけではお客様の本当の声をお聴きすることはできません。お客様の考えや真意を伺うためには、小さな工夫を積み重ねることが大切です。例えば、複数人が参加される打ち合わせの場合は、終了後にそれぞれのお客様へお電話をして個別のご意見を伺ようにします。また日頃のコミュニケーションで、気になったことは臆せず「なぜ?」と問いかけて、お客様の意図を確認することも欠かせません。こうしたことを重ねるうちに、表面的な課題や困りごとだけではなく、関連するお客様の「想い」も踏まえた解決策をご提示させて頂けるようになったように思います。
先日、まさにお客様とのちょっとした会話の中から新しい案件が生まれたケースでは、お客様から「あの時の会話の中で困りごとを察知してくれてありがとう。期待以上に、まるで道しるべを立てるような支援をしてくれた」という言葉をかけて頂きました。このような経験は本当に嬉しく、私のモチベーションになっています。

-コンペになることも多いと思いますが、勝つための秘訣はありますか。

村尾:大切なのは、お客様にとっての本当のゴールはどこか?を徹底的に考えることだと思っています。私が上司から言われたのは、「負ける時はいい負け方をしろ」ということ。つまり、意味ある負け、事前に引くことも大切だということです。お客様にとって一番良い選択をしてもらうことが本当のゴールであって、目先のコンペの勝ち負けが全てではありません。お客様のパートナーとして長く共創していくために、要所要所でお客様が最善の選択ができるようにご支援すること、そして信頼していただいたら、必ず期待に答えて動くこと、この2つがお客様と信頼関係を築くうえで大切だと考えています。

3. 約束を守ることが1番大切。コミットしたら、とにかくやり抜く

-最後に、同じく銀行のお客様を担当しているIBMコンサルティング 営業の瀬尾さんに聞きます。お客様と信頼関係を築く際にどんなことを大切にしていますか。

ijds-sb04-c瀬尾: 私が大切にしているのは、約束を守ることです。仕事をするということは、いわば約束の積み重ねです。コミットしたらやり抜くのがIBMの文化。大きな約束も小さな約束も、必ず守るように徹底しています。
どうして私が約束を守ることにこだわっているか、お話しましょう。

ストレッチ・アサインという言葉をご存知でしょうか。上司が、若手社員に、失敗してもいいからやりなさいと、大きな仕事を任せることです。次のステップに成長させるために、少し背伸びさせて育成するようなイメージですね。
私も若い頃、IBMのあるビジネス・リーダーに、自分の身の丈に合わないような仕事を任せてもらったことがありました。当時私はまだ駆け出しの営業で、とある銀行のお客様を担当していたのですが、なかなかお客様との関係が築けず、思うように仕事を進められないことに悩んでいました。
そんな私を見ていたIBMのビジネス・リーダーが、ある時、お客様に向かって「自分の権限は全て瀬尾に与えていますので、瀬尾の判断は私の判断だと思ってください。責任は私が取ります。」と言い切ってくれたのです。一歩間違えば大切なお客様の信頼を失いかねない状況ですが、お客様は驚きながらも、XXXさんがそういうならと、私の意見に耳を傾け、ご相談ごとを話してくださるようになったのです。初めはIBMに義理立てしてくれたのでしょうが、少しずつ良い関係を築くことができるようになり、やがてお客様は私に全幅の信頼を置いて下さるようになりました。その時は本当に嬉しかったです。同時に、私を信じてくれたお客様と、私に仕事を任せてくれたリーダーの信頼を裏切らないよう、お約束したことは何としてもやり遂げると強く心に決めたのです。

-お客様の信頼と期待に応え続けるために、今の自分にできることは

あれから数年が経ち、私もそれなりにキャリアを積んできました。当時の私を信頼してくれたリーダーのように、今度は私がチームメンバーを信頼して、仕事を任せる番だと思っています。営業の仕事は一人では進められないもの、多くの方々に信頼していただくことで成り立ちます。私だけでなく、若手の営業社員もお客様に信頼して頂けるように、時にはパスを回したり、背伸びをさせたりしながら、メンバーのいいところを伸ばして、たくさんのお客様と信頼関係を築けるようにサポートして行こうと思っています。

おわりに

今回インタビューした3名それぞれの「お客様と信頼関係を築く際に大切にしていること」は、営業パーソンだけでなく、どのような職種の方にも参考になるポイントではないでしょうか。アプローチの方法は異なりますが、共通するのは、何かを判断する時や、予期しない問題に遭遇したときには、「これは本当にお客様のためになるのか」を考えることが大切だということです。そしてひとたびお客様と約束したら、必ず守る・やり切ることが、お客様の信頼を得ることに繋がります。皆さんもお客様との信頼関係を築く際に、これらのことを参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

インタビュー : 中井 真代 (日本アイ・ビー・エム株式会社ラーニング・オーガナイゼーション・イニシアティブ)
文 : 加藤 智子 (日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社(IJDS) 事業企画推進ラーニング&ナレッジ担当)

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