クラウドの移行プロセスに着手する前に、ここでご紹介する6つのステップを使って、アプリケーションのクラウドへの移行に必要なことを理解することが重要です
ビジネスを推進するために、企業がますますクラウドへの投資を継続するにつれて、クラウドの採用がIT環境の最適化に不可欠となりました。クラウドへの移行により、企業はより俊敏になり、効率性を改善し、よりよい顧客体験を提供することができます。今日において、安定性と柔軟性のニーズは、かつてないほど重要になっているといえます。
企業によっても異なりますが、最適化されたITインフラストラクチャーは、多くの場合、パブリック・クラウド、プライベート・クラウドおよび従来からのIT環境の組み合わせにより構成されています。IDG によるクラウド・コンピューティングに関する調査(英語)によれば、主要なITの意思決定者の73%が、こうしたクラウド・テクノロジーの組み合わせを既に採用しており、さらに17%が今後12ヶ月以内に採用する予定と回答しています。
しかしながら、クラウド・インフラストラクチャーの採用は、ビジネスの中断を懸念している企業にとっては「オール・オア・ナッシング(All or nothing)」の提案である必要はありません。アプリケーションをハイブリッド・クラウド・モデルに組み込むことで、企業は、既存のオンプレミス環境でIT資産を運用しながら、クラウド・テクノロジーのメリットを享受することができます。
アプリケーションを成功裡にクラウドに移行するための6つのステップ
クラウド環境への移行により、運用パフォーマンスと俊敏性、ワークロードの拡張性およびセキュリティーの向上を実現することができます。企業は、あらゆるリソースからワークロードを移行して、ハイブリッド・クラウドのメリットをすぐに享受することができます。例えば:
- オンデマンドの資源による俊敏性の向上:これにより、企業は予期しないニーズや季節的な使用パターンに応じて容易にIT資源を拡張できます。
- 運用コストから従量課金制への移行:これにより、設備投資の削減が可能になります。
- セキュリティーの強化:物理的なハードウェアやネットワーク、ソフトウェアまで、スタック全体のさまざまなオプションにより、セキュリティーを強化できます。
クラウドの移行プロセスに着手する前に、まず以下の手順を活用して、何が必要かを理解するようにしましょう。
1. 戦略を立てる
クラウドへのジャーニーを始める前に、達成したい目標を明確にしてください。これは、ITインフラストラクチャーの基準となる測定基準を明確にして、ワークロードをIT資産とアプリケーションに対応づけることからはじまります。これは、ページの読み込み時間、応答時間、可用性、CPU使用率、メモリ使用量、コンバージョン率など、クラウド移行の主なKPI(重要業績評価指標)を確立するのに役立ちます。
戦略の策定は、テクノロジーよりもビジネス目標を優先する方法で早期に行う必要があります。これらの指標により、さまざまなカテゴリーにわたって測定が可能になります。
2. 適切なアプリケーションを選ぶ
すべてのアプリケーションがクラウド対応であるとは限りません。パブリック・クラウドよりも、プライベート・クラウドまたはハイブリッド・クラウドの方がパフォーマンスが優れているものもあります。微調整が必要なものもあれば、コードを大幅に変更する必要があるものもあります。もし、アーキテクチャー、複雑さ、実装方法を完全に分析するならば、移行後よりも移行前の方が簡単です。
クラウドに移行するアプリケーションを評価する場合は、以下のようなことに留意してください:
- そのままで移行できるのはどのアプリケーションで、再設計する必要があるのはどのアプリケーションか。
- 再設計する必要がある場合、必要な複雑さのレベルはどのくらいか。
- クラウド・プロバイダーに、ワークロードを再構成せずに移行できるサービスがあるかどうか。
- 移行する各アプリケーションのROI(投資収益率)と、それを達成するために必要な時間。
- クラウドへの移行が費用対効果が高く安全であるとみなされるアプリケーションの場合、パブリック、プライベート、 またはマルチクラウドのどのタイプのクラウド環境が最適か。
アーキテクチャーを分析し、アプリケーションを注意深く調べれば、移行する意味があるものを判断するのに役立ちます。
3. 適切なクラウド・プロバイダーを確保する
最適化を実現する際の重要な側面のひとつに、クラウド・プロバイダーの選択が あります。これは、移行中および移行後のクラウド移行プロセスのガイドに役立ちます。クラウド・プロバイダーに確認すべきいくつかの重要な項目は次のとおりです:
- プロセスを簡単にするために、ツールを利用できるかどうか(サードパーティーのツールを含む)
- 実績のレベルはどのくらいか
- あらゆる規模でパブリック、プライベート、およびマルチクラウド環境をサポートできるかどうか
- 複雑な相互依存関係、柔軟性のないアーキテクチャ、または冗長で時代遅れのテクノロジーに対処するのにどのように 役立つか
- 移行プロセス全体でどのレベルのサポートを提供できるか
クラウドへの移行は簡単ではありません。したがって、選択するサービス・プロバイダーは、クラウドの移行を グローバル規模で管理するために必要な複雑なタスクを管理できるという、実証済みの経験を有する必要があります。 これには、マイルストーン・ベースの進捗と結果などを含むSLAの提供が含まれます。
4. データの整合性と運用性を継続的に維持する
リスクの管理は重要です。クラウドの移行中に機密データが公開される可能性もあります。ビジネス・プロセスの移行後の 検証は、自動制御・管理機能が通常の運用を中断することなく同じ結果を生み出すことを確実にするために重要です。
5. エンド・ツー・エンドのアプローチを適用する
サービス・プロバイダーは、移行プロセスのあらゆる側面に対処するための、堅牢で実績のある方法論を持っている必要があります 。このためには、複雑なトランザクションをグローバル規模で一貫して管理するためのフレームワークに基づいている必要があります。 進捗状況と結果について合意されたマイルストーンがSLAに明文化されていることを確認してください。
6. クラウドの移行を実施する
これまでの手順を注意深く実施した場合、この最後の手順は比較的簡単です。ただし、クラウドへの移行方法は、アプリケーションの複雑さとアーキテクチャー、およびデータのアーキテクチャーに部分的に依存します。アプリケーション全体を移行し、テストを実行して機能することを確認してから、オンプレミスを切り替えることができます。または、より段階的なアプローチを取ることもできます。お客様の環境をゆっくりと移行し検証し、すべてのお客様がクラウドに移行するまでこのプロセスを続行することもできます。
IT の最適化によりデジタル変革(DX)を加速
IT最適化の結果、変革の加速、費用対効果、拡張性の実現など、ビジネス変革とデジタル変革の両方の推進にお役立ていただけます。移行するアプリケーションとワークロードを慎重に検討することによって、段階的なアプローチでクラウドを適用することにより、企業は業務を中断することなくこうしたメリットを享受することができます。
クラウドの移行プロセスの詳細については、以下のビデオをご覧ください。
動画(4分46秒,英語版)を見る: