社員が語る「キャリアとIBM」

新天地で、更なる高みを目指し、社会に貢献する

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社員が語る「キャリアとIBM」では、IBM社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。今回は、IBMコンサルティング事業本部のSAPチームのアソシエイト・パートナー、H.C.さんのインタビューです。

Q.現在の所属部署と入社時期を教えてください。

IBMコンサルティング事業本部のSAPチームに所属しています。アソシエイト・パートナーとして2022年4月に入社しました。

Q.これまでのキャリアを教えてください。

新卒で国内のSIerに就職し、20数年働いてきました。若い頃はいわゆる技術屋として、最新テクノロジーを活用したシステム構築案件のアーキテクトやDBAを担当しました。その後はWebマーケティング系のシステム構築や、J2EEベースの基幹システム構築、SAP社のERPやBIの導入など、様々な案件のプロジェクト・マネジメントを経験してきました。プロフェッションはプロジェクト・マネジメントです。また、事業部長としてSAPの導入と保守、運用を担当する300名近い組織のリードも経験しました。

Q.転職を考えた経緯を教えてください。

前職の事業部という組織は経営の最小単位と言われ、事業部長は役員やその予備軍が担当するポジションでした。新規顧客開拓や既存顧客の深耕、新規サービスの企画開発、パートナーとのアライアンス、人材育成やキャリア採用等々の、戦略と施策を立案、遂行し、非常にストレッチな予算を達成することがミッションでした。大きな権限と責任を持ち、やりがいはありましたが、会社の売上と利益のために一生懸命頑張っている感じでした。事業部長になる以前の部長職からずっと、予算達成のために奔走していたように思います。恐らく他のSIerやメーカー系のIT企業のマネジメント職も同様だろうと割り切っていましたが、この先も会社のために頑張り続けるのではなく、もっと自身のキャリアの幅を広げ、自身のバリューを高めたいと思い、転職を考えるようになりました。

Q.キャリアの幅ですか。

ITは、単なるツールから社会インフラになり、今や社会や企業の課題を解決し、世の中を豊かにするために、なくてはならない存在になっていると思います。ITで新たな価値を創造することが今後ますます重要になっていく、そのステージでもっと活躍できる人材になりたいと思いました。私は、ITの世界で長年様々な経験をしてきました。その経験を活かしつつ、さらにキャリアの幅を広げ、もっとITで新たな価値を創造できるような人材となり、社会に貢献する、そういう仕事をしていきたいと思いました。

Q.前職でのポジション、会社の成長に関わる仕事。それらを手放すことに葛藤はありませんでしたか?

物凄くありました。前職もとてもいい会社で大きな不満はなかったですし、転職するよりも前職で更に上位のポジションを目指して頑張る方が、絶対に楽だし安心だとも思いました。ですので、転職ありきではなく、本当に自分が望む環境で、自分のやりたいことができる会社が運よく見つかるようなら転職も検討してみよう、という気持ちで転職候補先のリサーチを始めました。そしてIBMと出会いました。かなり悩みましたが、70歳定年時代とするとあと20年近くもあり、これからの第2ステージをどう生きていこうかと考えた時に、まだまだITに携わる人間として高みを目指したい、もう1度勝負しようという気持ちになり転職を決断しました。

Q.IBMを選んだ理由を教えてください。

価値観がマッチしたからです。

Q.詳しく教えてください。

コンサルティングファームを中心に、いくつかの会社の話を聞きました。その際に「何人連れて来ることができますか?」と質問されたことがありました。人を増やし、その人達がフル稼働できる仕事があれば収益が伸ばせる、というコンサルティングファームの昔ながらの発想ですね。その考え方は否定しませんが、もっと大事なことは、如何に組織として付加価値を高めてパフォーマンスを上げられるかだと思っています。そこに貢献できる人材を採用するという思考ではなく、「何人連れて来ることが」と聞かれたことに違和感を覚えました。一方、IBMからはそのような質問は全くありませんでした。またSAPチームやその上位組織のリーダーの方、人事の方、みなさんとても誠実で、親切な対応をしてくださいました。面談でのやりとりや対応に、自分の価値観とマッチしている印象を受けました。

Q.日系のSIerから外資系企業へ。カルチャーギャップはありましたか?

全くありませんでした。むしろ、驚きばかりでした。

Q.どのような驚き、発見がありましたか?

驚いたことはたくさんあるのですが、入社して最初に驚いたのはキャリア採用者向けの入社時研修です。この歳になって2-3週間も集合研修を受けるとは思っていなかったので、びっくりしました。キャリア採用者向けに、これほど充実した入社時研修が用意されている会社は、とても珍しいと思います。そして毎日頻繁に送られてくる最新技術や業界トレンド、オファリング、事例に関する紹介メールや社内研修の案内メール、膨大な量の研修動画やナレッジベースにも驚き、圧倒されました。

また、全く面識のない方でも、海外の方でも、メールやチャットで質問すると、みなさんとてもクイックかつ親切、丁寧に返答くださるのにも驚きました。教えてくれる人がいて、教え合うカルチャーがあり、学べる機会と学ぶための教材が十分過ぎるほど揃っている点は、凄いと思います。

圧倒的な技術力を持つテクノロジーカンパニーとして、日本をはじめ世界各地に最先端技術の研究所を持ち、ノーベル賞受賞者を多数輩出し、特許取得件数が世界有数。下支えしている教育環境と教育文化が、社是が「Think」というだけあり、IBMはレベルが違うと思います。

現場で業務に就いてからは、誠実で親切な方ばかりなことに驚きました。こういう言い方は失礼かもしれませんが、外資系のコンサル会社なので、自己主張が強く、ドライでずる賢い方が多いと勝手に思っていたのですが、IBMは全く違っていました。ある方から、「うちは、誠実でない人は、淘汰されるよ」と聞き、とても衝撃をうけたのを今でも鮮明に覚えています。「いい組織には自浄作用が働く」と言われていますが、IBMは正にそのような組織なのだと感じました。これはとても凄いことだと思います。

創業時から「社会課題の解決は自分たちの使命」という崇高な企業理念を掲げ、それを100年以上言い続け、数多くのイノベーションを起こしている会社を私は他に知りません。その価値観の中で社員が育っているから、IBMerのあるべき姿として、誠実であるとか、感謝をするとか、学び続けるといった素晴らしいカルチャーが根付いたのだと感じています。

また、外資系企業ですが、中身はとても和を重んじる日本的なカルチャーの会社だと感じています。正直、もっとシビアに収益を追求する、もっとドライな人間関係の会社をイメージしていました。お客様に常に寄り添い、お客様との長期的な共創関係をとても大切にしている点も、少し意外でした。国内のSIerしか知らない私が不安に思っていたカルチャーギャップは全くなく、とても居心地が良いと思っています。

Q.現在の仕事内容、役割マップ*を見ながら解説ください。

*役割マップ
=「社員が何を行なっているのか」「誰と仕事をしているのか」「期待の大きさ」を視覚化したもの

SAPチームには、会計領域のコンサルチーム、SCM領域のコンサルチーム、テクニカル領域のチーム等、いくつかのチームがあります。私はGo to Marketと呼ばれているチームに所属し、SAPの他のチームやセクターライン、サービスラインのチームと連携し、主にSAPの新規案件の提案を行っています。自身が提案し、受注した案件にプロジェクト責任者として参画することもミッションの1つです。他には提案のためのアセット整備や、SAP案件のパイプライン管理なども行っています。

Q.お客様は、どのような課題感をお持ちですか?

個々の事業や業務、個々の拠点の個別最適で作り上げてきた巨大なレガシーシステムが足枷となり、スピーディーな事業拡大や外部環境変化への対応、業務や経営管理の高度化が困難になっているお客様が未だ多いと感じています。

Q.詳しく教えてください。

グローバル全体で、ベスト・プラクティスをベースに業務とシステムを標準化していく動きは、随分前からありましたが、なかなか踏み切れず、長らくレガシーシステムを使い続け、いよいよ限界を迎えてしまった、というケースです。

また、国内ではSAP(ERP)を導入済みなのに、海外はバラバラのシステムを使用していたり、あるいは、国内外でSAP(ERP)を導入しているが、M&Aをした会社を中心にモデルがバラバラなため、グローバル全体での業務の効率化、高度化に課題をお持ちのお客様も多い印象です。
いずれのお客様からも、IT基盤の高度化無くして企業の高度化はありえない、という考え方がかなり定着してきていると感じています。

Q.お客様がIBMに寄せていただいている期待を教えてください。

グローバル対応力です。
お客様は、競争力を高めてグローバル・マーケットで生き残っていくために、日本だけではなくグローバル全体にガバナンスを効かせて、業務の標準化と高度化を行うことを望んでおられます。それを遂行できる能力、ケイパビリティーがIBMに対して期待されていることであり、評価いただいていることだと思います。
たとえば自動車関連の製造業の、国内トップクラスのお客様は、オペレーショナル・エクセレンスを追求し、それを強みに成長してきた歴史があり、自社の業務に強い拘りを持ち、事業を行ってきました。その分、グローバル全体での標準化が遅れていたとも言えます。業界のビジネス・モデルがCASEを中心に大きく変わろうとしている中、自分たちの業務やシステムもグローバルで最適化していかなければならないが、国内だと業界全体でSAP(ERP)の導入が遅れているので事例が少なく、どうすれば良いのか、ベストプラクティスが分からない。ですが、海外には多くの事例があり、IBMには導入した実績があります。グローバルのベストプラクティスの知見を持ち、コンサルティングができることへの期待値は、とても大きなものがあります。

また、国内と海外含め39ヶ国、140強の拠点に約2年半でSAP(ERP)を導入するという案件がありました。このような難易度の極めて高いグローバル案件で、実現性のある提案ができるベンダーは、IBMを含め、片手で数えられる程度だと思います。お客様自身もそれを分かっておられて「IBMにぜひ、提案してもらいたい」と、ご依頼をいただきました。グローバルに多くの拠点とリソースがあり、多くのグローバル展開の実績を持ち、各国固有の要件への対応がアセット化され、SME*を多く有するからできることであり、グローバルでビジネス展開している日本の多くの大手企業にとって、その価値は非常に高いと思います。

*SME=Subject Matter Expert

Q.IBMが、SAPのビジネスに於いて強みとする領域を教えてください。

先ほどお話したグローバル対応力に加え、テクノロジーです。
日本の大手企業の基幹業務の領域は、グローバル全体で標準化、最適化するステージにいるお客様が未だ多いのですが、お客様がその先に見据えているステージは、インテリジェント化による更なる業務の高度化、効率化です。SAP社が「インテリジェントエンタープライズ」と呼んでいる世界観です。
特に、労働生産人口の減少や高技能者の高齢化、引退、Japan as No.1を支えた匠の技術継承という大きな社会課題を抱えている日本企業にとって、バックオフィス業務のインテリジェント化は、持続的成長のために避けては通れないクリティカルなテーマだと思います。そして、その世界を実現するには、IBMが得意とする最先端のテクノロジーが必要不可欠です。

Q.先を見据えて、ですか。

ERPの導入と併せて、より業務をインテリジェント化、高度化するためにAIを導入するお客様も増えてきています。IBMはAIをはじめ、最先端の技術を持ち、インテリジェントなサービスをERPベンダーとも協業して開発し、それらのサービスを活用したコンサルティングやシステム導入までをone stopで実現できる点が、競合との圧倒的な優位性だと思います。

Q.ERPベンダーとの協業例を教えてください。

SAPやOracleは、ERPにAI等を活用したインテリジェントな機能の拡充を進めており、IBMはテクノロジーカンパニーとして、それを強力に支援するパートナーでもあります。2023年5月にSAPの利用者支援サービスの「SAP Start」にwatsonxが導入されることが発表されました(IBM Japan Newsroom – ニュースリリース)また、2024年の1月には、IBMとSAPが協業し、消費財製造・小売業界向けに、生成AIを含むAIを活用した業務アプリケーション群を開発することが発表されました。watsonxを活用し、天候、交通、地域イベントなどの外部データから最適な配送計画を立てたり、各店舗の市場動向や過去の販売パターン、需要予測、商品構成などのデータから店舗単位で品揃えの最適化を行うといった、インテリジェントなアプリケーションを提供するものです(IBM Japan Newsroom – ニュースリリース)今後、このような取り組みはますます加速すると思われます。

Q.ご自身の転職の決断を、どのように評価していますか?

IBMに転職して本当に良かったと思います。
「世はITの時代、もっとITで新たな価値を創造できる人間になりたい」と話しましたが、それを叶えるための必要十分な環境と実践できるフィールドが、IBMにはあると思います。AIを中心とした最先端技術に圧倒的な強みを持つテクノロジーカンパニーとしての顔だけでなく、コンサルティングファームとして、業界を代表する様々なお客様との100年以上にわたる共創によって蓄積された業界、業務知見、培われた高いコンサルティング力とそれを支える膨大なアセットが、IBMにはあります。最先端のテクノロジーを軸に、これまでにない新しいモデル、新しい価値を創造するコンサルティングにおいて、IBMは他社を大きくリードしていると感じています。

Q. IBMでのキャリアを通じて成し遂げたいことを教えてください。

「ITで社会課題を解決します」昨今、どのIT企業もそう言っていますし、そこで働く社員も、社会に貢献できる仕事をしたいと少なからず思っているはずです。私もそうです。ですが過去に、例えばSAPの巨大なデリバリーのプロジェクトをやり切ったときに、社会に貢献している実感を持てたかというと、そうではなかったのが正直なところです。「日本を代表する会社の経営基盤であるERPシステムを稼働させて、それを安定運用している」というのは、ある意味社会を支えている、社会に貢献していると遠まわしに言えなくもないのですが、その実感は持てませんでした。

お客様は自社が存続、成長するために、自社の経営課題だけでなくCO2排出を始めとする様々な社会課題にも取り組んでいます。それらの課題を如何にして解決するのか、その構想を練り上げるところからお客様に寄り添い、一緒に考え尽くさないと、単に手段であるシステム導入だけやっていたのでは実感が持てないのだと思います。日本を代表する企業の経営課題を解決している、社会課題を解決している、そして社会に貢献している、そういった実感を持てる仕事をもっとたくさんやっていきたいというのが、率直に思っていることです。またそういった自分の仕事に誇りを持ち、子供たちにも誇れる父親でありたいと思います。IBMでは、それが実現できると思っています。


根本 亮
インタビュー・執筆:根本 亮
Talent Marketing Specialist
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