社員が語る「キャリアとIBM」

IBMグループから、世界の半導体産業に貢献する

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社員が語る「キャリアとIBM」では、社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。

今回は、日本アイ・ビー・エムデジタルサービス(IJDS)、A.T.さんのインタビューをお届けします。

Q.現在の所属部署と入社時期を教えてください。

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス(IJDS)のデジタル事業部、インダストリアルソリューション本部 MESグローバルソリューション部に所属しています。職種はITスペシャリストで、入社は1999年です。

Q.1999年ですと、IJDSではない会社に入社されたのですか?

はい、IJDSは、2020年に日本IBMのグループ会社3社が合併して誕生した会社です。私が1999年に新卒で入社した会社は、CAD(Computer Aided Design)の会社です。その会社が、日本IBMの完全子会社になり、IBMグループの一員になりました。転職はしていないのですが、名刺に書かれている会社名が変わった形です。何度か社名が変わり、2020年から、IJDSとなりました。

Q.新卒で入社した当時からエンジニアだったのですか?

はい。CADの会社では、お客様の要望に基づいて、製品として決定されたCADの仕様の機能開発を行うのが主な仕事でした。

Q.IBMのグループ会社になったのに伴い、何か変化はありましたか?

ありました。IBMのグループ会社になったのに合わせて、CADの機能開発だけではなく、いわゆる部品表システムなど、周辺システムの開発にも携わるようになりました。その中で、私はCADのファイル管理システムなどの開発を実施しました。CADファイルは、複数の部品ファイルを組み合わせて一つの製品を作成するので、各ファイルは他のファイルをリンク情報として持っています。これらのファイルは、正しいバージョンを一括で管理しないと、組み上げた時に正しい製品になりません。また、部品表システム内の品番と正しく連携される必要があります。IBMのグループ会社になってからは、このようなシステム間の連携を含むシステム構築プロジェクトの経験を積みました。

もう1つの変化は、お客様と直接やり取りをするようになったことです。CADの会社では、営業がお客様先に伺うことはあっても、開発部隊が直接お客様先に行くことはありませんでした。ですが、IBMのグループ会社になってからは、お客様先に伺い、直接要件をお聞きし、開発、設計を行うようになりました。ウォーターフォールなどの開発手法もIBMグループになってから学びました。IBMは研修なども充実しているので、色々と学びたい人には良い環境だと感じています。

Q.変化を通じて得たものを教えてください。

達成感が違いましたね。

私は開発は好きなので、以前の仕事でも、自分が開発したものが動作すると達成感はありましたが、お客様の要件を直接お聞きし、お客様と一緒に作り上げたシステムを、お客様が実際に使用されているのを見たときは、それまで味わったことがない達成感を感じました。

もちろん、当初は色々と苦労がありました。元々私は説明をするのが得意ではなく、理論立ててお客様の前でお話しすることに苦手意識がありました。今でも緊張しますし、決して得意ではありません。ですが、お客様と直接お話しさせていただき、実際の業務やシステムが必要な背景も含めて理解し、その上でシステムを構築する。そしてそのシステムをお客様が実際にお使いになられ、かつ業務に貢献できていることを感じると、取り組んで良かったと感じます。

Q.今の部門に異動した経緯を教えてください。

私事ですが、子供を出産後、2015年の春に育休から時短勤務で復職しました。それ以前は出張も多かったのですが、それができなくなり、仕事が限られる中、現在の部署が人を探している話を聞きました。全く知らない分野、面識のない方々で不安もありましたが、家庭の事情を考慮し、出張の調整や、必要に応じて在宅勤務も可能だといった話もあり、挑戦することにしました。

IJDSで働くメリットの一つは、挑戦できるキャリアパスが多いことだと思います。また、マネージャーを始め、周囲の方々が子育てに理解があったこと、困ったときは周囲に相談し、自分の状況に合わせた柔軟な働き方ができたことは、今のキャリアを重ねる上で、とても大きな助けになっています。

Q.現在の仕事内容、役割マップ*を見ながら解説ください。

*役割マップ
=「社員が何を行なっているのか」「誰と仕事をしているのか」「期待の大きさ」を視覚化したもの

現在のプロジェクトのお客様は、半導体の研究機関になります。プロジェクトはSiViewを開発するチーム、tMSPを開発するチームの二つがあり、私は後者のチームの開発リーダーをしていました。昨年度からプロジェクト全体のリーダー兼プロジェクト・マネージャーを務めています。

Q.SiViewとtMSPについて教えてください。

SiViewは、IBMが持つ、MES(Manufacturing Execution System)の領域の製品になります。半導体を作る、主に前工程のシステムで、工程管理、生産管理、スケジュール管理などで使用されます。

tMSP(Multi-threaded Machine Supervisory Program)は、半導体装置と直接やりとりするアプリケーションです。SiViewの指示により半導体装置へ直接命令を出したり、半導体装置が出す様々なイベントを受け取り、SiViewへ報告したりします。最先端の工場では、これらのシステムを使用し、人手を介さずに仕掛品を自動倉庫(ストッカー)から製造装置に搬送し、加工処理を行い、完了すると次工程へと搬送されるといった自動化が進んでいます。また、半導体装置が単体で動いているだけだと装置の中に溜まったデータはなかなか活用が難しいのですが、tMSPを介して様々なデータをSiViewへ報告することで、そのデータを最大限に利活用できるようになります。例えば「装置のデータの異常を検知し、アラートを出し、その装置でその後の処理ができないよう制限をかける」ことでリワーク処理を少なくするなどといったこともできます。

Q.何を開発しているのか、具体的に教えてください。

半導体業界には、Semiconductor Equipment and Materials International(SEMI)が組織するスタンダード委員会が制定する、業界標準(SEMI Standard)があります。半導体の工場内で使われているもの、例えば半導体製造装置はもちろん、装置にウェハーを運ぶキャリアー等、すべてのものがこのSEMI Standardに準拠する形で作られています。

SiViewやtMSPといったシステムは、基本的にSEMI Standardに準拠した形で実装されていくため、SEMI Standardに準拠した装置であれば、SiViewやtMSPをお使いいただくことができます。

私たちのお客様は、研究機関になるので、常時次々と新しい装置が五月雨式に導入されてきます。この中には、SEMI Standardに準拠していない装置もありますし、新しい機能を備えた装置などもあるので、それらの機能をお客様の目的に合わせて有効活用するべく、カスタマイズ開発を実施します。SiViewの製品も毎年新機能を取り入れているので、それを使用することもありますが、プロジェクト固有の目的や、時期などの条件に合わせたカスタマイズを実施できるのが、お客様固有のプロジェクトの強みだと思います。今のプロジェクトは、過去からの実績をご評価いただくことで、毎年の契約更新へと結びついています。

Q.役割マップを見ますと、関わる方が大変多いのですね。

今のプロジェクトでは、米国IBM、インドIBMなどにチームメンバーがいます。また、SiViewはIBMの製品なので専任の製品チームがあり、そのチームとも連携をしながら作業を実施します。プロジェクトによっては、半導体装置ベンダーや周辺システムのベンダーとやり取りすることもあります。

また、国内のチームのメンバーも多様なバックグラウンドを持っています。tMSPのチームリーダーの方は新卒で入社し、1年くらい別のプロジェクトを経験した後に、現在のプロジェクトに参加されました。プロジェクトを通じて半導体を勉強し、現在のリーダー・ロールに着任されています。また、SiViewのチームリーダーの方は、中途で入社した方です。前職は半導体とは無関係で、SiViewも初めてとお聞きしていますが、3年目でチームリーダーとなり、チームをまとめていただいています。

経験やバックグラウンドが異なるので、お互いが教えたり、教えられたり、また、色々な方の話を聞く機会や、時にお客様からも教えていただきながら、必要な知識を学んでいるという状態です。

Q.今の仕事のやりがいを教えてください。

勉強をすればするほど、仕組みが分かってくること、その仕組みに則って様々なシステムが作られていくその成り立ちを知ることの面白さを感じます。また、先端技術を取り扱っている研究機関の方々と一緒に仕事ができる点も、経験として大変貴重なものだと感じています。

半導体の製造は、半導体装置があればそれでできるわけではありません。システムと連携することで、初めて発展していくものだと感じています。そのために必要なのがSiViewであり、お客様をご支援できるのが、IJDSの強みだと思います。

Q.IJDSでのキャリアを通じて、成し遂げたいことを教えてください。

縁があって、今のチームでリーダーをさせていただいていることを感じます。私がこのチームのリーダーになった時、未経験の領域だったこと、英語が得意ではなかったことから、不安が大きかったです。ですが、メンバーや、直属の上司、その上の方も含めて、支えていただいていることを実感しています。メンバーのみなさんは、大変スキルのある方々ですので、きっともっと多くのアウトプットをお客様にお届けできるのではないかな、と思います。今まで以上に、チームのみなさんと力を合わせて、お客様に貢献できたらと思います。


根本 亮
インタビュー・執筆:根本 亮
Japan Employer Branding Manager
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